2年ぶりに日本へ里帰りしてきました。滞在中、日本ではいろいろなことがありました。1995年の地下鉄サリン事件に関わり、潜伏していた元オウム心理教信者、高橋克也容疑者の逃亡と逮捕、消費税増税法案をめぐる激しい議論と民主党内での造反、オスプレイの沖縄普天間基地配備問題、松田聖子さんの3度目の結婚、などなど。でも、みどりの1kWh視線の私にとって一番の注目の的は、大飯原発第3、第4基の再稼動をめぐる動きでした。6月16日、上京した福井県の西川一誠知事が野田首相に再稼動への同意を伝える、何かの儀式のようなニュースの映像を、私はなんとも不思議な感じを覚えながら見ていました。
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ドイツの4大送電網運営会社が先ほど提示した送電網開発計画案によると、同国が進めているエネルギー転換のために新設されなくてはならない高圧送電網は3800kmで、既存だが近代化が必要となる高圧送電網は4000km、そのために掛かる費用は200億ユーロ(2兆円)になる。北海やバルト海に計画されている洋上風力発電パークを、2022年までに接続するための送電網には、さらに120億ユーロ(1兆2000億円)が必要となり、総額は320億ユーロ(3兆2000億円)に達する。膨大な金額ではあるが、年々再生可能エネルギーの支援に支払われる金額が約140億ユーロ(1兆4000億円)であることを考えると、それほどかけ離れた額でないことが分かる。
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みなさんはシューベルトの代表的な歌曲「魔王」をお聞きになったことがおありだろうか。私は今年5月19日に亡くなったドイツのバリトンの名手、フィッシャー=ディスカウ)の CDで、この「魔王」を久しぶりに聞いてみた。子供の死という恐ろしい出来事を予感させるような前奏で始まるこの曲は、ドイツの文豪ゲーテの詩をもとにつくられている。子供をさらう魔王、子供と父親の会話、語り手の語りからなるシューベルトの曲は非常にインパクトが強く、私は改めて強い印象を受けた。ゲーテの詩に基づくこの「魔王」を原発事故と結びつけて講義した大学教授がいる。 続きを読む»
6月18日付の南ドイツ新聞の経済面に「2度目の脱原発」という見出しが書かれていた。2度目というのはどういうことかと疑問に思いながら読むと、ドイツの大手エネルギー企業であるRWE社が、ドイツ国内に次いで、外国での原発事業から撤退するという内容だった。そして6月18日付のオンライン版シュピーゲルも「方針転換」という見出しで、RWE社が原発事業から撤退することを報じていた。これらの報道の内容と、これに対する反原発運動団体の反応を紹介しよう。
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私たちの身の回りをみると、プラスチックでできていない製品を探すのは大変です。便利で素敵な製品は、生活に欠かせない必需品となっています。いくら問題があるとはいえ、まったく放棄することができるでしょうか。ある若いカップルがNOプラスチックの一週間に挑戦しました。 続きを読む»
気がついたらもう1年が経つ。ドイツ政府が 脱原発の方針を閣議決定したのは、去年6月6日だった。国内に17基ある原発のうち福島の原発事故後早々と運転を停止した8基の再稼働はせず、そのまま閉鎖、残りの9基は2015年、17年、19年に1基ずつ操業停止、2021年に3基、2022年に最後の3基も止めて全廃するという脱原発に向けての具体 的な行程表が決定された。同時に核エネルギーに代わって風力など再生可能な自然エネルギーへの転換をはかって行く方針も決められた。この政府案をドイツ連邦議会が激しい論議の後賛成多数(賛成513票)で承認したのが、6月30日で、歴史的な決定とみなされた。反対票(79票)の多くが「11年後に脱原発 を実現するという政府案は時間がかかりすぎる」という理由での反対票だった。ドイツの憲法である連邦基本法に脱原発を明記するべきだと主張した左翼党の議員たちもその要求が入れられなかったため反対票を投じたが、脱原発そのものに反対した議員はごく少数だった。この日、原子力法や再生エネルギー法改正案など8つの関連法案が連邦議会を通過し、7月8日、連邦参議院もメルケル内閣の脱原発の方針を承認、法的手続きがすべて完了した。福島第一原発の事故から 3ヵ月あまりのスピードぶりだった。 続きを読む»