自然エネルギー発電、25%を突破
シリア危機、ユーロ危機、欧州危機でドイツの格付けは「ネガティブ」に、といったニュースが支配的だった7月末、「自然エネルギー発電の割合、25パーセントを突破」という明るい知らせが届きました。ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟の推定によると、今年前半、ドイツ発電量で自然エネルギーの占める比率が初めて4分の1を上回りました。その発電量は去年に比べて4%増加して67.9TWh(1テラワット時=1,000ギガワット時)。その中では風力発電が9.2%を占めて、例年と同様、最重要自然エネルギー源となっています。再生可能エネルギーと呼ばれる自然エネルギーが、今までトップだった石炭を追い越したのも今回初めてだそうです。2020年までにこの比率を35%まで伸ばすのがドイツ政府の方針です。
自然エネルギーを資源別に比較すると、風力発電に続きバイオマスが5.7%、そして太陽光発電が5.3%、水力が4.0%、廃棄物などその他が0.9%となります。安価の中国製太陽パネルが大量に輸入されてドイツのパネル生産会社が倒産し、問題となっている太陽光パネルですが、発電量は約50%も増加しています。全国電力消費量は去年と比べると1.4%減り、261.5TWhだった、とドイツ全国エネルギー・水利経済連盟は発表しました。寒波のためエネルギー需要が急増した一方、エネルギー需要の高い鉄鋼、化学、製紙産業の生産がやや減少したのが原因と同連盟は見ています。今後、自然エネルギー化を進めるに当たり、環境保護や気候保護の面から問題の多いバイオマスはなるべく放棄するべきだというのが、ドイツの研究者たちの意見です。バイオマスを再生可能エネルギーとして利用する場合、食糧生産と競合しないか、従来の化石燃料と比べて、本当に地球温暖化ガスの排出削減効果があるかを前もって明らかにすべきだとドイツ科学アカデミー「レオポルディーナ」の研究者グループは述べています。
消費者としてドイツでは、原子力発電や従来型の燃料を使った火力発電などを拒否して、100%自然エネルギーを供給しているエコ電力会社を選ぶことができます。2011年の統計によると、ドイツ全国で18.9%の国民が、エコ電力を購入していました。その割合が一番高かったのがバイエルン州で24%、次のバーデン=ヴュルテンベルク州が22.7%でした。続いてベルリンで、その割合は22.4%。1998年に電力市場が自由化された後、電力会社の数は一時増えましたが、結局は4つの大手電力会社が市場の大半を占めたままです。独占支配の結果、年々、料金が値上げされていますが、消費者としては、この会社にとどまる必要はありません。選択肢は数多くあります。例えば、ベルリンに住む1家庭の年間電力消費量が3000kwhとすると、大手電力会社ヴァッテンファルに支払う料金は年間約800ユーロ(約8万円)です。エコ電力会社だけを調べてみると、年間料金がヴァッテンファルよりも安い会社が20社以上あり、中には155ユーロも割安だった会社も見つかりました。ドイツで最初に創立されたエコ電力会社であるシェーナウ電力の料金は大手電力会社と比べてほぼ同じでした。
自然エネルギーを促進したい消費者は満足できる電力会社を自由に選ぶことができます。その上、省エネや節電により消費量をコントロールでき、年間料金を抑えることもできます。消費者誰もがすぐできる自然エネルギー100%への転換です。
*)推計値(概数)
自社の需要のための自家発電は、この計算にはまだ算入されていない。
廃棄物は廃棄物系バイオマスのみ。