アンダーコントロールを信じないドイツのメディア

あきこ / 2014年3月9日

東日本大震災、福島の原子力発電所の事故から3年目。3月11日が近づくとドイツの新聞、テレビ、オンラインなどのメディアで福島の状況に関する報道増える。福島は「起きてしまったこと」ではなく、「現在も起きていること」としてメディアが注目しているのだ。事故後3年を迎えて、ドイツにいる私たちにとって衝撃的な報道がいくつかあった。

 

2月26日23時15分、ドイツ第二放送で放映された「福島のウソ‐隠ぺい・詭弁・脅迫」と題する番組は、番組に登場する人たち、原子力発電所の状況、海の汚染状況など、およその想像はついてはいたが、それにしても映像として見せられたときの衝撃はやはり大きかった。

翌日の2月27日、間髪を入れずに全国紙「フランクフルター・ルンドシャウ紙 (Frankfuruter Rundschau)」が、この番組について「福島はコントロールされていない」と題するテレビ時評を発表した。ヨハネス・ハーノ記者が必要以上に画面に出過ぎという批評は別にして、番組に登場する「証人たち」が東電、安倍首相、原子力ムラが原発事故の結果についてどのようにして日本人をだましているかを見事に描いていると述べている。2020年のオリンピック東京招致に向けて、安倍首相が「すべてはアンダーコントロール」と言ったことに対して、同紙は「完全なウソ」という言葉で締めくくっている。

ドイツの公共国際放送であるドイチェ・ヴェレは、3月3日付のオンライン・ニュースで「核戦争防止国際医師会議:福島の結果は隠ぺいされている」と題したニュースで、「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は『事故はまだアンダーコントロールではない』と警告している」と伝えている。「福島事故の医学的影響を調べようとする医師たちは、政府、健康保険、医師会から妨害を受けている」と語るIPPNWドイツ支部のアンゲリカ・クラウセン医師。同会議は、チェルノブイリ事故の後と同じように福島事故後に乳児の死亡率や白血病患者が増加することを恐れているが、日本ではこれらの調査は行われず、単に甲状腺がんの増加だけを認めている。しかも、「癌のスクリーニング検査を誰が行うかを決定するのは福島県」という。ドイチェ・ヴェレは、ベルリンを訪問したおしどりマコさんの言葉を引用して次のように述べている。「福島はコントロールされていない。学校やその他の施設では福島産の食材を使用するように強制されている。これは放射能の危険から目をそらさせるためだ。福島の事故についての自由な報道もやがて許されなくなるだろう。2013年の年末に決められた特定秘密保護法があるからだ」。

メディアの報道ではないが、ドイツの反核団体でこのサイトにも何度か登場している「アウスゲシュトラールト (.ausgestrahlt)」からの情報についてもお伝えしよう。3月10日の夕方(大体18時前後に開始)からドイツ全国160を超える町で、福島を忘れないための「警告のスタンディング」が予定されている。「アウスゲシュトラールト」のヨッヘン・シュタイ氏はこの催しを通して「福島の人たち、逃れた人たち、子どもたち、病気を患っている人たち、二度と故郷に戻ることができなくなった人たちが忘れ去られることを防ぎ、福島の人々に連帯の意志を表す」と述べている。以下のサイトで、ドイツのどの町でこの催しが行われるかの一覧が見られる。

ドイツ全国で行われる警告のスタンディング開催場所・時間のリスト

 

 

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