どうなる2017年の電気料金
再生可能エネルギー促進のために電力料金に上乗せされる賦課金が、2017年1月から 1kWh当たり今年の6.35 (7.3円)から6.88 ユーロセント(7.9円)に値上がりする。7ユーロセント(8.1円)を超すのではと危惧されていたが、それには至らない。年間3500kWhを消費する平均的な3人世帯の場合、値上がりは年間で18ユーロ(2070円)になる。
賦課金が専門家たちの予測していた7ユーロセント以上に上昇しないのは、賦課金を管理する4大送電網運営会社が、賦課金の積立額を2017年には、賦課金支払額の10%以下に下げるからだ。下げる理由は、賦課金用の口座に溜まっている過去3年分の繰越金を銀行に預けておいても、利子が付かないだけでなく、場合によってはマイナス利子を要求される恐れもあるからだという。
送電網運営会社によると、今年8月までに消費者の支払った賦課金は154億ユーロ(1兆7710億円)で、収入としてはこれに卸売市場での再生可能電力の売り上げ金8億3000万ユーロ(954億5000万円)が加わる。これに対し送電網運営会社が再生可能エネルギーの生産者に支払った金額は172ユーロ(1兆9780億円)で、支出超過だ。しかし同時点の賦課金口座の残高は30億ユーロ(3450億円)だった。
賦課金に関しては、衣料業界などの中堅企業から「エネルギー転換 は全社会的な課題だから、再生可能エネルギーの促進は税金で賄うべきだ」という声が上がっている。そうすれば資力に応じた支払いがなされ、企業の生産経費は下がり、国内投資が魅力的になり、低所得者の負担も減るという意見だ。ドイツ全国再生可能エネルギー連盟(BEE、Bundesverband Erneuerbare Energie)は、国際競争に直面している電力大量消費企業が免除されている分の賦課金は、消費者でなく国が負担すべきだとしている。同連盟はまた、火力発電に対し「二酸化炭素の負担金」の導入や電力料金に含まれる電力税の廃止を唱えている。
ドイツでは再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)に従って太陽光や風力で発電された電力が、送電網運営会社に優先的に買い取られ送電網に送り込まれる。また、生産費の高い自然電力には従来の電力に比べ、より高い固定価格が支払われる。その固定価格と電力取引所で扱われる電力の卸売価格との差額が賦課金として消費者の電力料金に上乗せされる。自然電力が増えれば増えるほど、電力の卸売価格は低下し、卸売価格が下がれば下がるほど賦課金は上昇する。
昨年秋、1kWh当たり3.5 ユーロセント(4円)前後だった電力の卸売価格は、今年に入り 3ユーロセント(3.5円)を切ったこともある。なお、消費者の払う電気料金が上昇するかどうかは、安くなった電力の卸売価格を電力販売会社がどれだけ消費者に還元するかにかかっている。