リオが終わって世界の目は東京、日本へ

まる / 2016年8月28日

リオ五輪が閉幕した。2020年大会の開催地東京とホスト国日本について、現段階でドイツのメディアはどう伝えているだろうか。

8月23日、ドイツの公共ラジオ、ドイチュラントフンクは、「東京都知事に選ばれたばかりの小池百合子氏は2020年の五輪はこれまで最高の大会となると約束したものの、すでにスキャンダルが相次いでいる」と伝え、それは既に大会エンブレムの選定から始まったと、これまでに明らかになった問題をいくつか挙げている。

東京の五輪計画は良い星のもとにない。それは安倍晋三首相の大嘘から始まった。3年前のブエノスアイレスで同氏は、事故を起こした福島原発について「福島はアンダーコントロールです」と主張した。

それが今日でも間違っているのは、当時と変わらず、これから多くの年月が経ってもそうであり続けるだろう。

それ以来、スキャンダルが続いている。フランスの捜査当局は、五輪を東京に招致する際に賄賂が払われていたと主張している。大会のエンブレムに選ばれたデザインは、リエージュ市立劇場のエンブレムの盗作だったことが判明し、新たにデザインを選び直さなければならなかった。80年の歴史を持つ東京の魚市場は、五輪のプレスセンターにとって代わられることになり、それに対する抗議は日に日に高まっている。

そして最大の失敗は新国立競技場だ。今は亡くなったスター建築家、ザハ・ハディド氏のデザインは、建設的にも財政的にも全ての限界を越えるものだった。総工費が2520億円に膨らむことがわかり、首相が1年前に緊急ブレーキをかけた。新たに選び直したデザインのスタジアムは、現在の予定だと2020年、開会式の3ヶ月前に完成することになっている。

8月21日のテレビ番組「シュポルトシャウ(Sportschau)」は、東京五輪にかかる費用が当初考えられていた6倍にあたる1兆8000万円に跳ね上がりそうなことを伝え、 東京の道が狭くて、本来なら義務づけられている”オリンピック・レーン”が作れないこと、交通渋滞が予想されること、東京の夏が高温多湿であることなど、問題を挙げている。

同日のドイツプレスエージェンシー(dpa)は、「五輪の聖火台はどこ?」という見出しの記事で、新国立競技場の建築家たちが聖火台を忘れていたことに触れ、「このアクシデントが示すのは、五輪ホスト国にとって7年という準備期間は短いということ。そして招致の際に収賄があった可能性があるとして捜査が行われており、招致が成功した際にあがった最初の歓声は消え去っている」と書いている。さらに東京は深刻なイメージ問題をかかえていると指摘し、その理由はこの聖火台問題だけにあるのではなく、問題が判明した際の日本五輪委員会と政府の反応が遅かったこと、スタジアムのデザイン問題、エンブレム盗作問題もあるとしている。そして、大会招致の際のコンセプトでは各会場間の近さを約束していたのに、今ではいくつかの会場を東京外に移すことが考えられていること、ソフトボールと野球にいたっては、第1次予選を福島で行いたいと言っていることなども挙げている。そして「福島ということは、2011年3月にメルトダウンを起こした原発の近くだ」と驚きを隠せない。

同記事は「小池百合子都知事は、五輪費用を見直すと約束したが、リオで五輪旗を引き渡された東京は、これからさらに厳しい目が注がれるだろう」と締めくくっている。

ほんとうに、これからの4年間は、五輪インフラ整備の進み具合についてだけでなく、ホスト国日本の政治経済文化、国の体質といったいったところまで、世界のメディアが批判的に報道していくことに間違いないだろう。

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