イタリアでグローバル化について考える(2) 〜政治〜
前回に引き続き、この秋の2か月半のイタリア滞在で感じたことを、いくつか書いてみたい。今回は、政治について。
ベルルスコーニの「魅力」
ドイツからイタリアを見ていると、率直に言って、イタリアの政治はずいぶんいい加減に見える。とくにシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相の人気ぶりは謎だった。が、イタリアでたまたま見た『Silvio Forever』(2011年作品)という映画を見て、少しその「魅力」が分かった気がした。
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この映画は、ベルルスコーニの人生を称賛と批判の両方の視点で描いている作品だが、そこに出てくる過去の映像を見て、「彼はイタリア人が理想とする男性像を体現しているのかもしれない」という気がしてきたのだ。人なつこい笑顔、ユーモラスで巧みな話術、大げさに女性を持ち上げる物腰など……。ふてぶてしいのだが、なぜか憎めない(と感じる人が多いようだ)。これで、メディア企業とサッカークラブを所有する大富豪となれば、憧れたり好感を持ったりするイタリア人も多いのだろう。
日本人で言うと、テレビ司会者のみのもんたにどことなく似ているかもしれない。政治家にはあまりいないタイプだが、あえて言えば、人の心をつかむのがうまかったと言われる田中角栄だろうか。現存の政治家で言うと、失言しても「みんなのために本音を言ってくれた!」となぜかもてはやされる点など、石原慎太郎・元都知事に似ているかもしれない。あるいは、ネット上で「閣下」というあだ名をつけられ持ち上げられている麻生太郎・元首相にも近い。
そんなベルルスコーニも、私がイタリア滞在を終えるのと、ほぼ時を同じくして、脱税罪により議員資格を剥奪された。
イタリア人の民主主義政治への満足度は27%、ドイツは68%
日本人である私が「なぜイタリアの政治はこんなにいい加減なのか」と思うのと同様に、世界中の人もまた「なぜ日本の政治はこんなにいい加減なのか」と思っているだろう……などと考えていたおり、面白い統計を見付けた。「民主主義が機能しているかどうかについての満足度国際調査」(欧州のみ Eurobarometerによる調査 2012年 リンクの372ページ)なのだが、ドイツは「満足」と答えた人が68%で第8位(旧西独地域73%、旧東独地域50%)なのに対し、イタリアは27%だった。
西欧圏では、イタリアは満足度が低いほうから3番目だった。イタリアより満足度が低い国は、ポルトガル21%、ギリシャ14%だ。満足度が低いのはいずれも、国家財政の状況が不安定な南欧地域の国ばかりだ。ちなみに、満足度トップはデンマークの88%。その後、ルクセンブルク86%、スウェーデン85%と続く。
「この調査を日本でおこなったら、どんな結果になるだろうか?」と、つい考えてしまう。特定秘密保護法などというとんでもない法律がすんなり議会を通ったことを思うと、民主主義への満足度は低く出るだろうか? それとも、みんながそれでいいと思っている国だから、満足度は高く出るだろうか?
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