ペギーダに待った! 暗闇につつまれたケルンの街 

まる / 2015年1月18日

ここ数ヶ月、ペギーダという妙な名前の運動がドイツで話題を集めています。「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人(Patriotische Europäer gegen die Islamisierung des Abendlandes)」の略で、毎週月曜日に2万人近くの参加者を集めるドレスデンのものが一番有名です。1月5日にはケルンでもデモが行われましたが、これに合わせてケルンの大聖堂が照明をシャットダウン。これに共鳴した周辺の教会や役所、博物館やホテルも照明を落とし、自分たちの街をペギーダの舞台に利用させないという意思表示をしました。

この「消灯運動」は、カトリック教会ケルン司教区のライナー・マリア・ヴェルキ枢機卿(Kardinal Rainer Maria Woelki)が、ペギーダ(ケルン版はクギーダという)のデモに合わせてケルン大聖堂の「消灯」を宣言したことがきっかけで始まりました。これに倣って、アントニーター教会、チョコレート・ミュージアム、ケルン市商工会議所、マリティム・ホテルなどが次々と「消灯」を予告。フェースブックでも「人種差別者に光を与えるな(Licht aus für Rassisten)」というページが作られ、運動が広まっていったのです。本当は、その前にもドレスデンのゼンパーオペラ(ザクセン州立歌劇場)がペギーダのデモの際に照明を落としていたのですが、ケルンの大聖堂の場合は、広報活動が良かったというか、ヴェルキ枢機卿という”顔”があったためか、大きな話題になったようです。

ヴェルキ枢機卿はクリスマスにも、ケルン司教区の信者たちに「イエスも難民だった。貴方たちの心を、新しい隣人に開きましょう!」というメッセージをおくり、大晦日のミサでも、「4500万人の難民の86%は自国内か隣国に避難しています」、「パキスタンやトルコがしている難民支援の10分の1のことでも、私たちはできないのでしょうか? 難民問題をかかえているのは私たちのような豊かな国ではなく、危機的状況にある地域の貧しい周辺諸国です」と語っていました。

ドイツのメルケル首相も国民に向けた新年のメッセージで、「ペギーダの呼びかけに従わないでください。(ペギダの主催者たちは)偏見や冷酷さ、憎悪に満ちていることが多いですから」と呼びかけ、各メディアは「彼女にしては珍しくはっきりとした態度を示した」と評価していました。

私にはケルンの近くの敬虔なカトリックの家庭の出身の友人がいて、彼女自身は教会から籍を抜いていますが、「枢機卿や首相という権威のある人間がこういうメッセージを伝えるというのは、本当に重要なことなのよね。カトリックの敬虔な信者というのは、なんだかんだ言っても権威主義。上の言うことに従うものなのよ」と言っています。だからこそ彼女は教会へ行くことをやめたのだと思いますが、カトリック教会が反ペギーダで重要な役割を果たせることについてはポジティブに考えているようです。

2015年1月12日の月曜日には、ドレスデン、ケルン、ベルリン、ミュンヘン、ハノーファーなど多くの街で10万人が反ペギーダのデモに参加し、ペギーダのデモを圧倒しました。ペギーダが出てきた最初のころは、「嫌だなあ。怖いなあ」とイスラム教ではなくても外国人である私は思っていましたが、そんな必要はないかもしれないと勇気づけられました。

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