ドイツで風力発電が急増
陸上風力発電装置設置の駆け込み申請が急増している。理由は、この7月に再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)の改正が決まり、2017年からは促進される発電容量に上限が設けられ、国が決める固定の買い取り価格の代わりに競争入札制度が導入されるからだ。
風力発電業界の予測によると、今年設置される陸上風力発電装置の容量は4400MWに達する見込みだ。これは政府が適当だと考えている容量である2500MW(風車約1000基に相当)を大きく上回り、設置容量が過去最高だった2014年の4300MW以上に当たる。ちなみに2015年の新規設置容量は3500MWだった。
EEG改正の目的の一つは、自然エネルギーの買い取り価格を下げることだが、これに関して業界関係者は相当前から「現在の買い取り価格はもうすでに最低価格で、これ以上の価格低下の可能性はない」と政府が提示する買い取り価格に対して反発していた。しかし現行法に従い、これから先20年間、現在有効な買い取り価格(規模により異なるが1kwh当たり約8ユーロセント(約9円))を確保することは依然魅力的なようだ。
今年前半に設置された陸上風力発電装置の容量は2053MWで、1年前の同期間より約70%も多かった。今年中頃までの累積では、2万6561基、4万3544MWの陸上風力発電装置がドイツ全国にあったことになる。これらの装置がカバーする電力はドイツの総発電量の約12%に当たる。
なお、ドイツでは2017年も風力発電装置の設置が大きく増えると予想される。今年5月末までに出された設置許可の容量は3200MWで、その大半は今年中に建設される見込みだが、残りは来年に繰り越される。また関係者は、年末までにはまだ駆け込み申請が大きく増えるだろうと見ている。
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〈この7月に再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)の改正が決まり、2017年からは促進される発電容量に上限が設けられ、国が決める固定の買い取り価格の代わりに競争入札制度が導入される。〉そのために〈陸上風力発電装置設置の駆け込み申請が急増している。〉
再生可能エネルギーを推進していくために、このあたりは難しいところなのだと思いますが、その舵取りは、どう評価されるのでしょうか。