3ヶ月前に就任したばかりのドイツのアルトマイヤー新連邦環境相との記者会見に出席した。メルケル首相による前任者の更迭で思わぬチャンスが回って来たことが嬉しいのか、各方面から「ヘラクレスの大仕事」、「ドイツ統一にも匹敵する大事業」などと言われるドイツのエネルギー転換に自分が貢献出来る事を喜んでいるのか、仕事が楽しくてしょうがないというような印象を与える人物だ。この会見は外国人記者が対象で、日本の大手メディアからも数人の記者が参加していた。質疑応答形式で行われ、種々質問が出たが、内容に制限はなかった。みどりの1kWhで既に紹介して来た内容の返答も多かったが、以下にまとめる。 続きを読む»
年に平均27.5日、ドイツの有給休暇の日数はスウェーデンと並びEU諸国の中では一番少ないそうですが、夏になると大抵の家族は休暇をリゾート地で過ごします。目的地への道路が毎年渋滞するにもかかわらず、休暇を取る人々の52.8%がマイカーで旅行するそうです。それに続くのが36.1%の飛行機での旅行です。運ぶ荷物があったこと、時間をかけてゆっくりと気軽に移動したいなどの理由で、今回はマイカーでベルリン~ロンドンの旅に出ました。 続きを読む»
野田政権は、9月14日、「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す新しいエネルギー政策「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめた。福島第1原発事故の後「脱原発」の世論が高まったのを受けて、これまでの原発政策を大きく転換させたものだ。しかし、「40年で廃炉の基準を厳格に守る」「原発の新増設はしない」とする一方で、「原子力規制委員会が安全を確認したもののみ再稼働させる」として、再稼働を認める方針も明記した。また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの発電量を30年までに3倍にするとしながら、具体的な行程表は示されないなど、不十分で矛盾した点も見られる。それにもかかわらず世界第3位の原発大国、日本が脱原発宣言を行なったことは、国際社会に強い印象を与えたようだ。ドイツのメルケル首相は9月17日にベルリンで行なった内外記者との会見で「日本の脱原発の決定を歓迎する」と述べ、「再生可能なエネルギーの導入やエネルギーの効果的な利用、送電網建設などの問題で我々の経験を交換し、この分野で日本との協力を一層強化していく」考えを明らかにした。以下、日本政府の脱原発決定について9月15日のドイツの新聞論調をお伝えする。 続きを読む»
この夏私はオーストリアで10日間、すばらしい休暇を過ごした。なによりもオーストリアの自然、アルプスの高い山々と湖のある美しい風景が、印象に残った。とくにすばらしかったのは、ザルツカンマーグート地方にある絵のように美しい湖畔のハルシュタットの風景で、古くから岩塩の発掘で潤ったというこの小さな可愛らしい街は、1997年以降ユネスコの世界遺産に登録されている。こうした美しい街や由緒ある温泉保養地に泊まりながら各地の夏の音楽祭でオペラ やオペレッタを7つも見た。私の人生ではじめての贅沢な旅で、オペラファンとしては夢のような毎日だったが、この旅行で思い出したのは、オーストリアが 30年以上も前に脱原発を決めたことだった。そのいきさつを改めて思い起こし、現在のオーストリアのエネルギー事情についてお伝えする。
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ドイツ連邦議会は、今年6月29日から9月11日まで夏休みでした。この時期、動かないのは政治だけではなく、劇場や交響楽団、ギャラリーなどの文化界、ブンデスリーガなどのスポーツ界もシーズンオフで、ドイツは冬眠ではなく夏眠状態といった感じです。いつもはさまざまな政界の動きを伝えるニュース番組も、この時期には伝えることが不足するため、いわゆる”夏の穴を埋める話”といわれるような、とりとめのない話を扱います。
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旧西ベルリン中心、カイザー・ヴィルヘルム記念教会の建つ広場から目抜き通りクーダムを西へ徒歩30分、えんじ色から紺に輝くレンガの流線形が目立つ建物「シャウビューネ劇場」があります。かつて映画館だったこの劇場は、表現主義の代表的建築家であるエーリッヒ・メンデルゾーンの1925~1931年の作品です。ネットで手ごろなアトリエを探していると、「クーダム、重要文化財、設計者メンデルゾーン、ワンルーム・マンション」という物件が目に入りました。シャウビューネ劇場には何度か観劇に行ったことはあるのですが、裏に当たるブロック内に、彼の設計した集合住宅があるとは意外でした。そしてこの建築の由来を調べてみると、ベルリンの歴史の流れに触れたような気がしました。 続きを読む»