COP21、「本日の化石賞」

まる / 2015年12月20日

11月30日から12月11日までパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で、できたらもらいたくない、ありがたくない賞「本日の化石賞」に、デンマーク、ニュージーランド、ベルギー、サウジアラビアなどが選ばれました。

この賞は、国際NGOグループの「気候変動アクション・ネットワーク」(CAN, Climate Action Network)が、COPや、その前に行う作業部会などの開催中に、地球温暖化防止に向けて後ろ向きな取り組みをする国の政府などに与える賞です。そして年間で最も多くの「本日の化石賞」を受賞した国が、「年間化石賞」に輝きます。

今年6月には、ドイツのボンで開催されていたCO21の準備のための国連の作業部会の際に、日本が3つもの「本日の化石賞」を”総なめ”して話題になりました。

今回、化石賞を受賞した国々の一部とその理由

デンマーク 同国が野心的な目標を掲げていたのは、そんなに遠い日のことではない。しかし今年7月に発足した新政権は、2020年までに二酸化炭素を40%削減するという同国の目標を取り下げるといい、他の国々がギアを入れようとしている時に、ハンドブレーキをかけている。

ニュージーランド 化石燃料発電への補助金を段階的に廃止するよう他国に促しながら、自国では2008年以来補助金を7倍に増やしており、ダブルスタンダード。

ベルギー 文字通り、電車に乗り遅れた。環境大臣がパリ行きの電車に乗り遅れたが、それは1年前に停止した原発を再稼働するかどうかを、政府で交渉していたのが理由だった。

サウジアラビア 同国交渉団は、世界平均気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標に対して「Thanks, but no thanks」と言い、採決させないために全力で戦っていた。

CANは世界中の950もの環境グループから成り立っており、グリーンピース・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務局長は、「ミクロコスモス(COP) の中のミクロコスモス」と呼んでいる、と12月7日の南ドイツ新聞が伝えています。同記事によると、COPで会議場から会議場へ急ぐCAN代表のレバノン人、ワエル・フマイダン氏は、「化石賞」をもらってしまうのではないかと怖れる国の代表者が、同氏に対して「どうして自分の国がその賞をもらうに値しないかを説明してくることもある」と語っています。

CANの創立は1989年で、当時は国連の会議や作業部会にオブザーバーとして参加する人数は数十人程度だったそうですが、今回のパリでの会議には約1000人もが参加し、各国政府代表との釣り合いをとっていました。各会議に参加する他、気候会議”初心者”向けのワークショップも行っていました。

一国が1000人もの人間を会議に送りこむことは、どんな大国でもできません。複数の会議が同時に進行し、CANのメンバーはどの会議にも参加しているため、CANのメンバーに「このテーマについての話し合いはどうでした?」とか「A国は今どんな立場をとっているのでしょうか?」と聞いてくる国の代表もあるそうです。または、あまり人を派遣できない小さい国が、CANのメンバーを公式の交渉役に立てることもあるそうです。

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