放射能で女児の出生数減少

ツェルディック 野尻紘子 / 2011年11月1日

ドイツで、高濃度使用済み核燃料がニーダーザクセン州のゴアレーベンにある中間貯蔵施設に貯蔵されるようになった1995年以降、施設周辺で女児の出生数が明らかに減っている、とベルリンの日刊新聞「デア・ターゲスシュピーゲル(Der Tagesspiegel)」が報道している。ニーダーザクセン州厚生局の公表前報告書による。この報告書により、ミュンヘン在のヘルムホルツ・センターの科学者たちが既に発表していた調査結果が広範囲に渡り確証されたことになるという。

厚生局によると、1991年から1995年までには中間貯蔵施設の周辺35km内で女児100人に対し男児101人が生まれていたが、1996年から2009年までには女児の出生数100人に対し男児の出生数が109人となった。ドイツ全国の統計は、女児100人対男児105人となっている。

厚生局は、この結果により、使用済み核燃料容器から放出される放射線が男女間の出生数の割合に変化をもたらしたことが証明されたとはしていない。しかし、ヘルムホルツ・センターの科学者たちは、放射線が男女間の出生数の割合に影響を与える可能性のあることを確信しているという。彼らは、他の原子力施設の周辺でも女児の出生数が統計値以下であることを観察している。

例えば、低濃度及び中濃度放射性廃棄物の試験的な最終貯蔵施設として使用されていたニーダーザクセン州にあるアッセ岩塩抗近くのレムリンゲンという村では、男性新生児の数が異常に増えていたという。アッセが使用されていた1970年代の新生男女児の割合は男児142人対女児105人だったという。

チェルノブイリ原発事故後にも、放射性物質の降下量の一番多かった場所で一番女児の出生数が減っていた、とヘルムホルツ・センターの科学者の一人、ラルフ・クスミールツ氏は言う。これは、放射性物質により女性の胎児が死亡することに起因する可能性が非常に高いという。つまり、男児が多く出生するのではなく、女児出生数が減少することによる。

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