速報:独2014年の発電量、再生可能電力がトップ
ドイツでは2014年、再生可能電力の発電量が 、今まで発電量の最も多かった褐炭火力発電を抜いて、初めてトップに立った 。ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟(BDEW)の昨年暮の速報による。
昨年ドイツでは、年間総発電量が電力消費量の減少に伴い、一昨年の633TWhら610TWhに減った。それでも再生可能電力の発電量は一年前の152TWhから157TWhに増えた。従って再生可能電力が総発電量に占める割合も前年の24.1% から25.8%に上昇した。
再生可能電力の発電量の内訳は、風力発電が52.4TWhで前年比1%増、バイオマス発電が49TWhで同5%増、太陽光発電が35.2TWhで同14%増、水力発電は前年とほぼ同じ20TWhだった。
一方、数年来トップの位置にあった褐炭火力発電の総発電量に占める割合は少し減って25.6%、石炭火力発電も同じく減って18%となった。原子力発電の割合は微増して15.9%、天然ガス発電は減少して9.6%となった。
再生可能電力には、再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)に従って生産者に固定買取り価格が支払われる。支払いの作業を請け負っている送電網運営会社の発表によると、昨年再生可能電力促進のために支払われたこの買取り価格の総額は215億ユーロ(約2兆8595億円)に達し、一昨年より約20億ユーロ(約2660億円)多くなった。他方、ドイツの電力市場では増え続ける再生可能電力のために電力が余っており、電力の卸売り価格が下落を続けている。昨年の卸売り価格の平均は1MWh当たり33ユーロ(約4389円)と前年の38ユーロ(約5040円)より更に安くなった。その結果、再生可能電力の卸売り販売価格は総額で16億ユーロ(約2128億円)にしかならなかった。買い取り価格と販売価格の差額は、賦課金として消費者の電力料金に加算される。
なお、ドイツの電力消費量は昨年、前年比で3.8%減った。しかし同期間の国内総生産(GDP)は、前年比で1.4%増加しており、電力消費の減少が景気の停滞とは無関係なことが分かる。ベルリンのシンクタンク「アゴラ・エネルギーヴェンデ」によると、これは合理化や節電に起因する。ちなみに、ドイツの国内総生産は、旧東西ドイツが統一した1990年以来40%増加したが、同期間中の電力消費量は5%しか増えていないという。