ドイツの経済誌が見る日本のエネルギー政策

まる / 2015年4月19日

混乱する日本のエネルギー政策について伝える記事が、ドイツの経済雑誌「週刊経済」(Wirtschaftswoche)に掲載された。

「330メガワットを生み出す世界最大の地熱発電所が現在造られているが、その資本金50%を日本の伊藤忠商事と九州電力が出資している、そこで使われるタービンは同じく日本の東芝製である」とこの記事は始まる。しかし読者は次の1行で知らされる。それが日本国内にあるのではなく、インドネシアにあることを。この地熱発電所では、将来的に原発20基に相当する電力を発電できるようになるという。(以下、記事を要約)

米国のエネルギー専門家チェック・カストロ氏は、地熱が風力に並び、日本に最適な発電方法だという意見である。しかし今のところ日本で計画されている大規模な地熱発電のプロジェクトは一つしかない。Jパワーが秋田で進め、2019年に送電を開始する予定の発電所で、発電量はたったの42メガワットだという。

同誌は「日本が大切な資源をおろそかにするのは、原発惨事から4年経った福島の奇妙な様子にぴったりだ。政府と東電が原発48基を再稼働しようとする中、日本は再生可能エネルギーでつまずいている」と指摘する。そして「特にそれがひどいのは太陽光発電をめぐる間違った発展だ」と書く。2012年に導入した固定価格買い取り制度により、太陽光発電のブームが起きたが、ドイツ太陽光発電会社Qセルスのシュテフェン・シュチュデニー元日本支店長は「パーティは終わった」と語る。

日照時間の長い九州などでは、消費量よりも多くの電力が作られるようになり、2014年10月には5つの電力会社が、さらなる太陽光発電の許可申請を拒否した。現在では、発電会社に代償を払うことなく、30%まで買い取りを拒否して良いことになっている他、買い取り価格は今年7月までに2012年と比べて36%低くなる見込みである。「これにより、再生可能エネルギーの拡大は遅くなるだろう」と在東京ドイツ商工会議所副所長のマルコス・シューマン氏は言う。

同時に日本政府は将来的に総発電量の15~25%を原発にすることを目指しているが、原発48基のうち、安全基準を満たすのは4基だけで、地元の反対や裁判で再稼働が遅れており、そのために電力会社に出る損失を国が補っている。

東京電力は福島原発の事故収束と被害者に対する補償のため、国から700億ユーロ(約9兆円)を得ており、それを返済するために再び原子力発電をするつもりである。しかし世界最大規模の柏崎刈羽発電所は今だに停止したままで、1ヶ月に5億ユーロ(約650億円)の損失を出している。原子力安全委員会は7基のうち2基を安全だと宣言したいが、新潟県の泉田知事は阻止するつもりでいる。だから日本の電力会社は石炭発電にかけている。東京湾に新型の二酸化炭素減少の石炭火力発電所の建設を計画している。石油発電所にとって代わらせる予定だ。そしてここでまた出てくるのは……東電である。

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