水道の水は環境に優しい
「 EUの住民は、ガラス瓶やペットボトルに入った水の代わりに、蛇口から出てくる水道の水をもっと沢山飲むべきだ。そうすればプラスチックのゴミが避けられ、環境汚染が抑えられる。水道の水は検査が厳しいので質が高く、環境にも優しい。」そう語るのは他でもない欧州委員会のフランス・ティンマーマンス副委員長だ。この水道水の宣伝は 、増え続けるEUのプラスチックゴミ対策の一環で、EUは後日、プラスチック税の導入も考えていると伝えられる。
欧州の多くの海岸で一番沢山見つかるプラチックのゴミは、ペットボトルだという。理由は、世界の傾向と同じように、欧州でのミネラルウォーターの消費が、年々増加し続けているからだ。例えばドイツの場合、1970年に一人当たり12リットルだったミネラルウォーターの消費量は、2016年には149リットルにまで増えている。2016年1年間にドイツで売れたミネラルウォーターは合計147億リットルに達した。EU委員会は水道の水が1リットル当たり僅か約0.2ユーロセント(約0.27円)と安いことも指摘し、「欧州でみんなが水道の水を飲めば、合計で約6億ユーロも倹約できる」と宣伝している。
ティンマーマンス副委員長はまた、レストランや食堂の経営者に対し、お客さんに水道水を無料で提供するようにも呼びかけている。決して強制ではなく、あくまでも提案だとし、「我々はEU内の水道水の高いクオリティーをこれからもさらに高め、詳しい情報も提供するようにする」と述べた。
このキャンペーンに対して、ミネラルウォーター業界は「ミネラルウォーターは天然の産物で、水道水とは比べられない」と反発している。「ミネラルウォーターは天然の産物だから、水道水とは異なり、もちろん消毒などしない。瓶詰めは直接水源地で行われ、不純物が入ったり水の質が落ちたりしないように十分注意している」と主張している。
一方EUは、消費者を守るために、水道水に含まれる鉛やクロームなどに関する規定を強化したり、病気の原因となる細菌やヴィールスの検査を厳しくしたりするなど、既存の水道水の基準を改定し、新しい基準を設けることを計画している。将来的には自然界に存在するウランやマイクロシスチンも検査の対象にするという。これらの政策の目的は、 水道水が人体に与える「今までも非常に低かったリスクをさらに減らすためだ」とEU委員会は説明する。
ドイツでは既に現在、水道水に対する検査の方が、ミネラルウォーターに対する検査よりはるかに厳しいと言われている。水道水の消費量がミネラルウォーターの消費量とは比較にならないほど多いことがその理由だ。
なお、ドイツでは1980年代ごろまで、ビールやミネラルウォーターはほとんどすべてが何回も使えるガラス瓶に入っていた。しかし軽くて便利なペットボトルなどの増加で、回収して再使用されるガラス瓶の割合が減ったことが問題視された。そこで政府はまず1991年に「 包装ゴミ回避と再利用に関する行政命令」を決定した。しかし再使用可能なガラス瓶の割合は減る一方だったので、政府は改めて2003年に(従来から存在していた再使用可能なガラス瓶のデポジットに加えて)使い捨て瓶にもデポジットを課すことを決めた。それ以来、ドイツではペットボトル入りの水などを買うと、25ユーロセント(約34円)のデポジット代も払わなければならない。しかし空のボトルを店に持って行くと、25ユーロセント返却してもらえる。返却されたペットボトルは再利用されないので、プラスチックのゴミが減るわけではなく、環境にも優しくないが、ペットボトルが海岸とか公園にポイ捨てされることはほとんどなくなっている。
このサイト、とても素敵な試みだと思います。今日のペットボトルの話もとても有益な記事でした。私は、ペットボトルはほとんど買いません。不経済だなと思うからでしたが、確かに環境にもよくないですね。日本の水道水は「売りにだせるほど美味しい」といわれているのに、水を買うのは馬鹿げています。
でも、水を売る業者は怒るでしょうね。利益を既得権と考える人間が増えると、タバコも規制できず、銃も規制できず、兵器も規制できず、人間はどんどん愚かな方向に進んで行くように思えてきました。
コメントありがとうございます。サイトをいつもお読みくださっているようで、嬉しいです。