シリア危機、ユーロ危機、欧州危機でドイツの格付けは「ネガティブ」に、といったニュースが支配的だった7月末、「自然エネルギー発電の割合、25パーセントを突破」という明るい知らせが届きました。ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟の推定によると、今年前半、ドイツ発電量で自然エネルギーの占める比率が初めて4分の1を上回りました。その発電量は去年に比べて4%増加して67.9TWh(1テラワット時=1,000ギガワット時)。その中では風力発電が9.2%を占めて、例年と同様、最重要自然エネルギー源となっています。再生可能エネルギーと呼ばれる自然エネルギーが、今までトップだった石炭を追い越したのも今回初めてだそうです。2020年までにこの比率を35%まで伸ばすのがドイツ政府の方針です。
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4月上旬に「電気を市民の手に - 動き出した『ベルリーナー・エネルギーティッシュ』」という記事を書いたところ、4月下旬にドイツの新聞、ラジオ(因みにドイツのラジオ放送は日本と比べてはるかに重要な情報源である)などが「ベルリン市民エネルギー(BEB, BürgerEnergieBerlin)」という名称を持つエネルギー協同組合の活動を取り上げた。それらの情報によると、2014年12月31日でベルリン市と大手エネルギー供給会社ヴァッテンファル社との配電網に関する営業認可契約が切れるのに伴い、配電網を運営する組織として「ベルリン市民エネルギー」が名乗りを上げたという。配電網の営業権を買い取り、そこから生まれる利益を、出資した市民に還元することを目的としている。 続きを読む»
東西ベルリンを隔てる“悲劇の壁”があったベルナウアー通り。その壁を記念した壁公園の中に、「贖罪礼拝堂」が建っています。ここは以前「贖罪教会」のあった跡です。この礼拝堂の棟上式は1999年の壁崩壊10年後に、竣工式は2000年11月9日の壁崩壊記念日に行われました。完成後10年しか経っていませんが、昔からずっとこの土地に建っているかのような印象を受けるのは、使用されている建材のせいでしょうか。ここでゲニウス・ロキ1)を感じました。この礼拝堂についてはマスメディア、専門書、パンフレットなどで数多く紹介されていますが、私はこの建物を“みどりのめがね”をかけて見学しました。 続きを読む»
ノルウェーの石油エネルギー相とドイツの連邦経済相はこのほど、「ノルウェーとドイツ政府は長い交渉の結果、両国間に約600kmの送電用海底ケーブルを敷設することで合意した」と発表した。2018年に完成すると、ノルウェーとドイツの送電網が海を越えて繋がるようになり、両国間で電力の融通が可能になる。ドイツは将来、北海の洋上風力発電パークで生産した電力のうち、余った分を一時ノルウェーに送電して揚水発電用*に蓄えてもらい、風が吹かず電力の不足する際には電力に戻して送り返してもらうことを望んでいる。一方、水の豊富なノルウェーは、ドイツが脱原発後にノルウェーの水力で発電するきれいで安定した電力を多量に受け入れることに期待をかけている。総工費は15億から20億ユーロ(約1500億から2000億円)と見込まれ、両国で折半出資することに決まった。
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「人間は自分たちの力で制御できないものを作り出してしまった」福島第1原子力発電所の事故の後、私たちはその恐ろしさを痛感した。複数の原子炉での人類初ともいえる今回の大事故をきっかけに、科学技術の限界や人間のおごりについて思いをめぐらした人は少なくない。文豪ゲーテの詩「魔王」の中にその象徴的な意味を見出した独文学者については前回ご紹介したが、もうひとりの独文学者、仙台で東日本大震災を経験した佐々木克夫東北大学教授も、福島原発事故に同じゲーテのバラード「魔法使いの弟子」を思い浮かべた。
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デュッセルドルフ、ケルン、ボンのあるノルトライン・ヴェストファーレン州西部の小さな町でゴミにも害にもならないみどりのプラスチックを製造する農家があります。ドキュメンタリー「みどりの革命」1)に登場する一人は、この農家の持ち主であるフーベルト・ロイク(Hubert Loick)さんです。彼のアイデアは使用後、エネルギーとして利用でき、肥料となって自然に戻るみどりのプラスチックを作ることです。2005年にケルンで催された世界青年会議に50万人用のプラスチック食器を用意したのはロイクさんの経営するロイク再生可能資源株式会社でした。未来を背負う青年の集まりに環境問題となるプラスチックの山は相応しくはなかったでしょう。ロイクさんの使い捨て食器は使用後、食べ残りといっしょにコンポストへ、なぜならば原料はトウモロコシ。 続きを読む»