脱原発とドイツのエネルギー協同組合

あきこ / 2012年5月18日

ケルンにあるクラウス・ノヴィ研究所(Klaus Novy Institut)が、ドイツ連邦環境省の委託を受けて、協同組合とエネルギー経済に関する研究調査を行った。エネルギー協同組合は歴史的に見れば、まだ送電網が完備されていなかった時代に孤立していた地方の電力供給を確保するために組織されたが、やがて市の運営する電力会社へと発展していった。しかし、公営の電力会社が民営化へと追いやられた時代を経て、電力の自由化とともに再びエネルギー協同組合が復活してきた。さらに再生可能エネルギー優先法(EEG)、脱原発への転換がエネルギー協同組合の設立に追い風となった。

報告書の全文は以下のサイトで読めるが、以下、連邦環境省のニュースレターをもとに、報告内容を簡単にまとめてみる。

エネルギー協同組合の数

ドイツでは、2001年から2010年の間にエネルギー協同組合の数が10倍に増えている。さらに2010年から2011年のわずか1年の間に協同組合の数は392から586と約2倍の伸びを見せている。バイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルク州、ニーダーザクセン州といった旧西ドイツの諸州での組合の数が多いが、ここ数年の伸び率を見るとメクレンブルク・フォアポンメルン州が最も高くなっている。

エネルギー協同組合は市民のプロジェクト

ドイツにおける再生可能エネルギーの増加を担っているのが、個々人の積極的な取り組みである。トレンド・リサーチ社が行った昨年の調査によると、再生可能エネルギーによる電力生産(2010年は5万3000メガワット)の51%が個人あるいは農業経営者(個人あるいは農業協同組合)の所有する施設で生産されている。また彼らの主な投資対象は出力500kWまでの小規模の再生可能エネルギー生産設備である。4大電力会社の所有率はわずか6.5%であり、今後もこの数値が上がる見通しはない。所有者の構成が多様化し、地方分散化しているのがその理由である。
エネルギー協同組合会員の出資金は平均して約5000ユーロ(約52万円)となっているが、いくつかの協同組合では50ユーロからでも参加できる。通常は最低100ユーロから500ユーロとなっており、エネルギー協同組合は低所得者に対しても脱原発に財政的に参加する可能性を提供している。
エネルギー協同組合の主な目的は、再生可能エネルギーによる電力生産であるが、近年は生産だけではなく、送電網も含めた供給にも関わる組合が増えている。
自治体の人口が少なければ少ないほど、そして人口密度が低ければ低いほど、エネルギー協同組合の数が多くなっている。中央ではなく、周辺に分散する大小様々なエネルギー協同組合がドイツの脱原発を支えている。

国際協同組合同盟は、「協同組合とは、共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、共通の経済的・社会的・文化的なニーズと願いを満たすために自発的に手を結んだ人々の自治的な組織である」と規定している。今や、自発的に手を結んだ人々の自治的な組織であるエネルギー協同組合が、ドイツにおける「第4の革命」の原動力の一つとなっている。

2 Responses to 脱原発とドイツのエネルギー協同組合

  1. みづき says:

    ドイツは、小規模な発電が多いという印象がありましたが、
    なるほど、こういうシステムになっているのですね。
    小回りが聞いてよさそうです。
    ドイツは歴史的に地方分権的な国ですが、それも
    関係あるのでしょうか。

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