ワンウェイ・ポリ袋禁止に踏み切るフランス
フランスのエネルギー転換法では、石油が原料であるプラスチック製品の節減が重要な課題であるとされ、今月初めから薄いポリ袋の販売が禁止されました。日常生活に欠かせないポリ袋の禁止とは“勇気”ある政策です。フランスでは1年に170億枚のワンウェイ・ポリ袋が出回っているそうです。「この現状にやっと終止符が打たれると、市民はポジティブに受け止めている」とドイツ公共ラジオ放送の「ドイチュランドフンク(DLF)」はフランス市民の声を伝えました。
「ポリ袋の禁止は環境保護のためになると思います。私は、前からスーパーなどでポリ袋をもらうことをいつも断っていました」。
「魚を買うとき、ポリ袋は欠かせません。でも直ぐには捨てずに、我が家の犬の糞をこれで取り除いています」。
「いつもエコバッグを持っていますが、気をつけていないと、買ったものをレジでポリ袋に入れられてしまうことが時々あります。今回、ポリ袋が禁止されて良かったと思います」。
ポリ袋は災害
数年前から、いくつかの市町村では、ポリ袋の代わりとなる環境にやさしい代替品の使用に努めています。例えばオレロン島。フランスの大西洋岸にあるこの島は観光スポットです。観光客が多いこの島の悩みは大量のポリ袋だったと役場の責任者は話します。「毎年、海岸で収集したプラスチックのゴミの量は75トンでした。そこで、2年ほど前から、ポリ袋のかわりに無料でエコバッグを島の市場で配ることにしました。エコバッグは長持ちするので喜ばれています。その一方、島としてはゴミ処理に係る経費を減らすことができます」。
ポリ袋の禁止は地域内の経済循環を高めています。例えばフランス北部にあるルーべ。この町の肉屋では、ポリ袋の代わりに、肉やハム等をリターナブル容器に入れてくれます。消費者は容器を家で洗い、次の買い物に使います。
フランスの南西部にあるエロー県のレジ袋はビオです。いままで市民は生ゴミをポリ袋に入れて「燃えるゴミ」として出していました。ポリ袋は石油製品なので土に戻りません。今は、生ゴミを入れて捨てる袋はビオです。市は貴重な生ゴミを袋ごとコンポストとして集めることができます。収集された生ゴミは堆肥となり、乾燥地帯であるエロー県の土壌を改善していきます。
更に、ポリ袋禁止令は地域のパッケージ事業に大きなチャンスを与えています。環境にやさしい買い物袋の生産に長年投資している実業家、エリック・ボエル氏は次のように語っています。
「この新しい法律のおかげで、フランス国内だけで3000人が雇用されました。今までポリ袋を生産していた企業は、これからは生分解性を持つ代用品を生産しなければなりません。そこで、国外にあった生産工場が、再びフランスへ戻ると考えられます。なぜならば、いままでフランスで使用されているポリ袋の98%は、アジアからの輸入製品だからです」。
ポリ袋禁止の次は?
今回のポリ袋禁止令によって、全てのプラスチック製品のゴミ削減政策がスタートしたと環境保護団体は喜んでいます。ポリ袋禁止令には、これからの買い物袋は「再利用性」を持つ製品であることと規定されています。環境保護団体グリーンピースは「再利用性」を持つ買い物袋というのは「百回使える買い物袋」であってほしいと考えています。
ロワイヤル環境相の次の対策は、化粧品や洗顔料などに含まれているプラスチック微粒子「マイクロビーズ」の禁止です。更に2020年から、プラスチックの器や食器の販売を禁止する方針です。
そして、彼女はフランス国内だけではなく、世界的にこの深刻なゴミ問題の解決に努めています。「数日前、フランス政府の主催で『地中海ワークショップ』が催されました。地中海をプラスチックのゴミ汚染から守るには、地中海に面する21ヶ国がフランスと同じような政策を取る必要があります。プラスチックのゴミは実に深刻な問題だからです」とロワイヤル環境相は述べています。
先日、、「海のプラスチックを簡単に拾うプロジェクト」についてのリンクが日本から送られきました。日本海のプラスチックの問題解決として注目されているのは、オランダの青年が開発したV型の水面バリヤーです。彼のプロジェクトが収集できるのは海に浮かぶプラスチックのゴミだけです。残りの70%は既に海の底を覆っています。一部のグループの表面的な「海の掃除」だけではなく、これから被害が生じないように共同で取り組む必要があるのではないでしょうか。
写真参照
1→いつかは魚よりゴミのほうが多くなる flickr.com-droneplcr-Plastikmüll
2→便利なのは数十分間 flickr.com-Juuro-Wochenmarkt Tübingen
3→あなたのゴミ?私のゴミ?だれのゴミ? flickr.com-Jens-Olaf Walter-Plastikmüll