ドイツ•カトリック教会も提言するエネルギー転換
9月に総選挙が行われ、キリスト教民主同盟•キリスト教社会同盟(CDU•CSU)と社会民主党(SPD)の間の連立交渉が2ヶ月もかかったこともあり、この数ヶ月間エネルギー転換での進展はあまり見られなかった印象があります。そんな中の12月2日、ドイツのカトリック司教会議は、「エネルギー転換のための提言」を発表しました。この提言の前文は「神の被造物を守ることは、ローマ法王•フランシスコが重視していることです」と始まり、最後にラインハルト•マルクス枢機卿の署名があります。今年3月13日にローマ法王として初めて執り行ったミサで、フランシスコ法王は「あらゆる神の被造物と私たちの生きる環境に対する敬意を持つように」と、善男善女に対して呼びかけたそうです。
ドイツ•カトリック司教会議は2011年にも既に「被造物に対する義務−エネルギーと持続的なつきあいをするための提案」という意見書を発表し、環境に対する倫理的な行為は、神の創造への信仰に基づくもので、エネルギー問題は世代にまたがる平等の問題であるという考え方を明らかにしていました。
今回提言しているのは、エネルギー転換において
−国民が積極的に参加すること
−目標に優先順位をつけること
−信頼できる、公平なやり方をとること
−低所得世帯を守ること
−市民にもっと情報を提供し、相談の場を作ること
−省エネの可能性をさらに生かすこと
−交通分野でのシステムを改善すること
−中央と地方がお互いに補うこと
−欧州全体で取り組むこと
−エネルギー政策の実施状況を監視すること
−公共機関と教会が模範となること
などで、11ページに渡り、詳しくその内容を記しています。そして最後のまとめとして
−エネルギー政策の目標追求にこれからも尽力するべきである
−経済生産性、社会的負担能力、必要なインフラ整備の受け入れに対するネガティブな影響を防ぐ、もしくは少なくする
と書き、「経済生産性が高く、エネルギーを大量に使うドイツ社会に、持続可能なエネルギー転換を行う力があれば、世界中に実例を示すことになる」と締めくくっています。
この提言をまとめたのはフライブルクの補佐司教であるベルント•ウール氏です。同じく12月2日の南ドイツ新聞のインタビューで、エネルギー転換は「人類の将来と神の創造を守る問題であるため、教会の課題でもある」と答え、「カトリック司教たちはエネルギー転換を支持している。しかし最近、停滞しすぎた感じを持つ。大連立が決まれば、エネルギー転換を前進させなくてはならないし、計画の安全性と、明瞭な方向性が必要です」と、政治家たちに対して要求しています。同時に、「変化には、人々を説得して確信させる努力が必要です。教会の貢献としては、貧しい人たちと次の世代の負担で私たちは資源を消費しているのだとはっきり言うことです」と各教会のできることを明示しています。