「日本は、実は歴史上最大の脱原発を成し遂げている」

びっくりするようなタイトルが目に飛び込んできた。確かに、日本にある54基の原子力発電所のうち、現在唯一稼動している泊原子力発電所3号基が5月5日に定期点検のため停止すれば、日本は事実上「脱原発」を成し遂げたことになる。オンラインで再生可能エネルギーに関するビジネス情報を配信しているドイツの「再生可能エネルギー国際経済フォーラム(IRW, Internationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien)」は、現在の日本の状況をこのような見出しで言い表している。  続きを読む»

洋上風力発電パークの送電網への接続に国の援助必須

ドイツで標榜されているエネルギー転換の重要な柱となるべき洋上風力発電パークの送電網への接続が大きな問題になっている。ドイツの4大送電網運営会社の一つであるテネットが、接続に必要な膨大な資金を調達できないと表明し、接続に関わる損害補償の責任も引き受けられないとしているからだ。国の援助が避けられないようだ。 続きを読む»

ドイツサッカー連盟の社会的使命

3月2日、ドイツサッカー連盟のテオ・ツヴァンツィガー(Theo Zwanziger)会長が退任しました。ツヴァンツィガー氏は任期中、2006年の男子W杯、2011年の女子W杯ドイツ大会のホスト役を務めただけでなく、女子サッカーの促進や、同性愛者に対する偏見や差別の撤廃に精力的に取り組んだり、移民を背景に持つ人たちのドイツ社会での融和を応援してきたひとです。今回の退任に当たって「メルケル首相は、”最高の融和大臣”を失うことになる」と南ドイツ新聞は書きました。ドイツ代表戦でメルケル首相の隣に座り、ドイツのゴールが決まるとメルケル首相とハイタッチして喜ぶツヴァンツィガー氏の姿を、テレビで見たことがある方もあるかもしれません。これがどうしてみどりの1kWhと関係するかというと…

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ドイツの太陽光発電促進政策の見直し

南の国々にくらべて太陽に恵まれない(特に冬は日照時間が短い)ドイツは、もともと太陽光発電に適した国とは言えないが、そのドイツでソーラー・パネルが増え続け、世界のトップの位置を占めるようになったのは、国の自然エネルギー促進政策のおかげである。ドイツは自然エネルギーによる発電を促進するため、2000年(社会民主党と緑の党が連立を組んだシュレーダー政権のもとで)再生可能エネルギー法( Gesetz für den Vorrang erneuerbarer Energien. 略称EEG)を施行(その後何度か改正)、太陽光など自然エネルギーによる電力を固定価格で買い取る制度を導入してきた。これまでは発電開始時の固定価格で20年間、全量の買い取りが保証されてきた。また、ソーラー・パネルの設置にあたっては、補助金や有利な融資も行なってきた。こうした魅力的な条件と国民の自然エネルギーへの意識の高まりのため、ソーラー・パネルを取り付ける個人や太陽光大型プロジェクトの数は年々増え続け、最近はソーラー・パネルの値下がりの影響もあって、特に過去2年間に新規パネルの設置が驚異的に増加した。国の手厚い政策は太陽光発電の普及とソーラー産業での雇用の増大には貢献したが、その反面、マイナス面もいろいろ指摘されるようになった。

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電気を市民の手に - 動き出した「ベルリーナー・エネルギーティッシュ」

「ベルリーナー・エネルギーティッシュ(Berliner Energietisch)」という単語は、独和辞典には載っていない。Tischは机、テーブルを意味する。これにエネルギーという言葉がくっついて、「エネルギー問題を協議するテーブル」とでも言えば良いだろうか。エネルギーについて、テーブルを囲んで話し合おうということだ。

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メルケル首相に批判殺到

3月11日の東日本大震災一周年を機に、ここ数日間、昨年3月以降、脱原発・エネルギー転換政策を決定したアンゲラ・メルケル独首相に、その進展具合を批判する政治家や経済界代表、メディアからの発言が相次いだ。一年前にエネルギ−転換を「革命」と称したのはノルベルト・レットゲン連邦環境相、「多大の労力を要するヘラクレスの大仕事」としたのは他ならぬメルケル首相。それなのに立法・行政面での進歩は一向に目に見えて来ておらず、一部投資などは足踏みしている。背景にはエネルギー転換が果たして成功するのだろうかとの心配もあるようだ。

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