知らないうちに、あなたも電力の大量消費者
皆さんは、インターネットも決して環境に良くないことをご存知だろうか。インターネットの使用が始まったばかりの頃、ペーパーレスという言葉が流行った。この言葉は、情報の処理や資料の保存などに、もはや紙は必要なく、インターネットは便利なだけでなく環境にも優しいという意味で使われた。ところがインターネットは、情報が増えれば増えるほど、驚くほど巨大な量の電力を必要とすることがわかってきた。今では、エネルギーの大量消費者に成長している。
インターネットとの関係で Cloud Computing などという言葉を耳にすると、インターネットはあたかも雲の上の出来事で、非物質的な存在のような印象を与える。しかし、実情は異なる。インターネットが機能するためにはまず、無数のコンピューターが作動しなくてはならない。そしてコンピューターに貯蔵された膨大な量の情報が常に 呼び出し可能でなくてはならない。そのために、世界のあちこちに大きなコンピューターセンターが設置され、その数は増える一方だ。大きいコンピューターセンターは、サーバーファームと呼ばれることもある。世界最大級のコンピューターセンターの一つは、米国防総省の諜報機関であるアメリカ国家安全保障局(NSA)のユタ州にあるセンターで、その規模は数十万平米と言われる。それよりさらに大きいのは内モンゴルにあるチャイナ・テレコムのサーバーファームで、25平方キロメートルの敷地内にある建物には約120万台のコンピューターが設置されているという。 規模はまるで違うが、ドイツ国内にも2016年の時点で、5万ヶ所のコンピューターセンターがあったという。
コンピューターセンターに設置されたコンピューターは常時スイッチが入ったままだ。そして熱くならないために絶えず冷却されなければならない。熱くなると、情報が損なわれる可能性があるからだ。そこで消費される電力は膨大だ。ニューヨークタイムズのジェームス・グランズ記者はすでに数年前に、センターの建築家であるピーター・グロス氏が、「一つのセンターで消費される電力は中規模都市の電力消費量に匹敵すると話していた」と書いている。2016年にドイツの5万ヶ所のセンターが消費した電力は10兆ワット強で、ドイツの年間電力消費量の約2%に相当したという。
さらに、停電になっても情報が失われず、コンピューターの作動も可能なように、センターには非常時用の発電機が整備されている。大抵の場合ディーゼル発電機で、それも、大きなファーム用のものはディーゼル機関車ぐらいの大きさだ。いざという時のために、常に一定の間隔で発電の実習が行われているそうだ。例えば、フランクフルトにある E-Shelter 社のコンピューターセンター(容量は100MW前後)のディーゼルオイル用タンクの収容能力は数十万リットルで、発電が始まると近くでディーゼルの匂いがするという。ニューヨークタイムズのグランズ記者は、米国の「固定空気汚染源リスト」に、シリコンバレーのコンピューターセンターが載っていると報道している。
我々がコンピューターセンターやサーバーファームを利用する時、つまりインターネットを使ってグーグルで検索したり、インスタグラムで写真を投稿したりすると、また大量の電力が必要になる。これは毎日、世界中の数十億人がしていることだ。特に、ネットフリックスやユーチューブなど、情報量の多い動画のやり取りには、より大量の電力が必要になる。フランスの The Shift Project というシンクタンクの調べによると、インターネットの使える小型機器で消費される電力は、ドイツの場合、全電力消費量の約8%を占めるという。
と言うわけで、誰でも「インターネットで通信しているから、二酸化炭素は排出していない」とは言えないことがわかる。世界中のほとんどの国で、電力の大部分が 石炭や石油、天然ガスを燃やす火力発電所で作られているからだ。長時間にわたるインターネットの利用は、環境に悪いと昨今批判の対象になっている SUV の運転よりずっと悪いはすだ。アップルやアマゾンなど、電力需要の一部を自社のソーラーパークやウインドパークでカバーしている会社もある。しかし、それだけではインターネットが環境に与える悪影響はまだ到底取り除かれない。世間では、これから自動車もできるだけ電動になるべきだと話している。そうなると電力の需要が今後ますます増えることは確実だ。
テレビ番組はコンピューターを使ったオンディマンドで見るのではなく、従来どおり放映時にテレビで見ること、無駄にメールをしたり写真を送ったりしないこと、スマホをちょくちょく切ること ‥‥ 私たちに出来ることはそれぐらいだけだろうか。ちょっとため息が出てしまう。より有効な地球温暖化対策を求めてデモを続ける Fridays for Future (未来のための金曜日)の若者にも、インターネット休日やボイコットを考えてほしい。
まぁ、私も雲の上の出来事のように思っていました。情報をありがとうございます。
連れ添いや友人にも読んで欲しいのですけれど、ドイツ語で読める記事がありますでしょうか。
コメントをありがとうございます。インターネットが大量の電力を消費している事実を多くの人が知らないのは、今までにメディアがそのことをあまり報道してこなかったためだと思います。でも、またインターネットのお世話になってしまいますが、例えば energiebedarf serverfarm などで検索すると、色々のドイツ語の記事が出ています。お試しください。
お返事をありがとうございます。早速検索してみます。