緑のライフスタイルを手助けする雑誌

まる / 2012年11月11日

新しいデジタルカメラが欲しいけど、店舗にはあまりにも多くの商品が並んでいて、悩む。値段もそう変わらないし、沢山ある機能の違いをお店の人に説明してもらってもよく分からず、結局心を決められずに店を出る。そんな経験をしたことはありませんか?ドイツには、こんな人たちの助けになる、いいモノがあります。

テスト(test)という雑誌で、商品テスト財団(Stiftung Warentest)という団体が発行しているものです。

商品テスト財団は、消費者のために商品をやサービスをテストし、中立的で客観的な判断を公表することを目的に、1964年、ドイツ連邦議会の決議を受けて創設されました。拠点はベルリンにあります。商品やサービスをテストし、毎月テスト(test)という雑誌(現在はインターネットでも有料で見ることができる)で結果を発表してきました。評価には0.5〜1.5(非常に良い)から4.6〜5.5(欠陥あり)までの5段階があり、これが市民の消費行動に大きな影響を与えるのは、例えばドイツのドラッグストアに行けば一目瞭然です。数多いボディーローションを前に、どれを買おうかと迷います。そんな時、某商品にだけ商品テスト財団の2.3 (良い)の評価がついているのが目に入ります。そうすると、ついその商品を手にレジへ向かってしまいます。格安スーパーのアルディ(ALDI)に置いてある安いオリーブオイルが、この財団のテストで一番良い評価を受けた時は、このオリーブオイルが直ぐに売り切れました。

時々特別号も発行され、そのテーマは「(年老いた)両親の世話をする」だったり、「薬」だったり、「テレビ」だったりといろいろなのですが、「もっと緑に生きる」がテーマとなった号もありました。

—もっと緑に食べる

—もっと緑に着る

—もっと緑に投資する

—もっと緑に旅する

—緑の照明

—緑の家電機器

の章に分けられ、例えば「もっと緑に食べる」のページでは、沢山あるエコ商標の見方、本物のエコ商品の見分け方などを説明。牛乳、ミネラルウォーター、鶏胸肉のテスト結果を掲載しています。

「もっと緑に着る」では、遺伝子組み換えコットンについての記事があり、一枚のTシャツが消費者のもとへ届くまでの過程を、20種類のTシャツでチェックした結果を発表しています。

「もっと緑に投資する」では、多くの新エネルギー証券がテストされ、倫理的な銀行の紹介があり、安心して寄付できる団体の見つけ方も取り上げられています。

「もっと緑に旅する」では、「持続可能な観光」についての記事があり、欧州13都市の公共交通機関が比較されています。

「緑の照明」ではもちろん、20種類の省エネ電球がテストされています。

「緑の家電機器」では、テレビ、プリンター、冷蔵庫、掃除機、食洗機、洗濯機、IHクッキングヒーターがテストされています。

こういう”抜き打ち”テストがあるため、生産者は消費者をごまかせない、良い物を作ろうと努力するのかもしれません。でも、「欠陥あり」の評価をもらってしまったらどうするのだろう…と思っていたら、やはり裁判になるケースもあるらしいです(平均で年に10件)。しかし、損害賠償の判定がなされたことは一度もないとか。また、テストが中立的であり、広告収入に頼る必要がないよう、国から1年につき400万ユーロ(約4億円)の補助金が出ているそうです。

 

One Response to 緑のライフスタイルを手助けする雑誌

  1. みづき says:

    この「T」のマークは、見たことがあるのですが、何かわかってなかったので
    今まではよくチェックしていませんでした。
    この記事を読んでから気づいて周りを見てみると、至るところにありますね。
    このあいだ、保険会社から来た投資のナントカみたいな案内にもついていました。

    日本にも、商品テストを実施・公表している「暮しの手帖」がありますが、
    あれは完全に一出版社が、雑誌広告費をとらずに、読者からの雑誌購読料だけで
    やっているものだったと思います。
    ドイツの場合は国からお金が出ているんですね。