大飯原発前の抗議活動、ドイツでも伝わっています
2年ぶりに日本へ里帰りしてきました。滞在中、日本ではいろいろなことがありました。1995年の地下鉄サリン事件に関わり、潜伏していた元オウム心理教信者、高橋克也容疑者の逃亡と逮捕、消費税増税法案をめぐる激しい議論と民主党内での造反、オスプレイの沖縄普天間基地配備問題、松田聖子さんの3度目の結婚、などなど。でも、みどりの1kWh視線の私にとって一番の注目の的は、大飯原発第3、第4基の再稼動をめぐる動きでした。6月16日、上京した福井県の西川一誠知事が野田首相に再稼動への同意を伝える、何かの儀式のようなニュースの映像を、私はなんとも不思議な感じを覚えながら見ていました。
6月末にベルリンへ戻った私は、さっそく、ドイツのメディアが大飯原発の再稼動をどう伝えていたかを調べてみました。すると、各新聞はdpaなどの通信社の記事を用いていることが多く、独自の報道や論評は案外少なかったことが分かりました。
例えば、6月16日シュピーゲル誌(電子版)もdpaの記事を用い、同日、野田首相が大飯原発第3、第4基を再稼動させる決定を下した経緯を伝え、最後はこうまとめています。
「今回原発2基が再稼動されるのは、日本の強い原子力ロビーの勝利であり、高い電気料金を心配する産業界に譲歩するものである。『かなりの数の原子炉が、来年までに再稼動されると考えられる』と、米国テンプル大学アジア研究所所長ジェフェリー・キングストン氏は言っている。『野田政権はそれを特に熱望している』」
一方、7月1日の再稼動に向けて行われた6月30日と7月1日の大飯原発前の抗議活動については、多くのメディアが写真や映像付きで伝え、6月30日のドイツ第1公共放送(ARD)のニュース番組 ターゲステーメン(Tagesthemen) でも扱われていました。
「200人ほどの市民が大飯原発前道路を封鎖。ちょっとゴアレーベン(ドイツのニーダーザクセン州にある、高レベル核廃棄物処分所候補地で、反原発運動の代名詞のようになっている)のようだ。政治は原子力ロビーと産業界の圧力に屈した。そして野田首相は6月中旬、大飯原発の再稼動を決めた。日本の大多数の人たちは、自分たちの(原発に対する)怖れが、政治に無視されていると感じている。福島から1年、日本の原子力への抗議は、これまでにないほど声高に、クリエイティブになっている。」
ちなみに日本の反原発運動については、ドイツ人のユリア・レーザー(Julia Leser)さんとクラリッサ・ザイデル(Clarissa Seidel)さんが昨年、「ラディオアクティビスツ(Radioactivists)」というドキュメンタリー映画を作っており、現在ドイツの各大学で上映会をしているそうです。http://radioactivists.org/de/press/
ただ、この映画は2011年の4月末から5月初めに撮影されたものなので、是非これから「続き」を期待したいものです。
その他にも、今回の日本滞在中には、鹿児島県が震災がれき受け入れを表明、福島県沖における漁業が試験的に操業、青森県六ヶ所村のMOX燃料工場の設計と工法を経済産業省が認可したなど、私には理解しがたいニュースが沢山ありました。そんな中でUstreamで見た、大飯原発前で警官たちに囲まれながら踊っていたひとたちの映像は、私をまた元気にしてくれました。
大飯原発前での抗議運動は、都会から遠いこともあり、
行けた人はそれほど多くなかったようです。
デモ参加者の人数ということで言えば、毎週金曜日の
首相官邸前はかなりの規模のようですが、それについては
ドイツではどう報道しているのか気になります。
また、この週末は、坂本龍一さん提唱で、「No Nukes 2012」
という音楽イベントがあり、ドイツ人ミュージシャンの
Kraftwerkも出演していました。
http://nonukes2012.jp/
私はUstreamのライブ中継で少し見ていたのですが、
政治色の強くないミュージシャンという印象だった
山崎まさよしさんが「原発サヨナラー!」と大声で
叫んでいたのが、突き抜けた感じで良かったです。
日本では、タレントさんやその事務所は「色がつく」
のを嫌うので、あまり政治について発言しないことが
多いですが、ドイツ人の音楽家や俳優は、そのへん
どういうスタンスの人が多いのでしょうか。
そんな話も聞いてみたいです。
コメントありがとうございます。確かに色がつくことをおそれて、”自己検閲”をする人が多いですよね。分野には関係なく。ドイツ人の音楽家や俳優の発言、これからもっと意識してみようと思います。
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