下がる再生可能電力促進のための賦課金

ツェルディック 野尻紘子 / 2020年10月18日

ドイツの消費者が電力料金に上乗せして支払う再生可能電力促進のための賦課金が来年、今年の1kWh当たり6.756ユーロ・セント(約8.3円)から6.5ユーロ・セント(約8円)に下がる。値下がりの理由は、消費者の負担を軽減するために、賦課金の一部が来年から税金で賄わられるからだ。背景には、ドイツで来年1月から二酸化炭の課金制度が導入されることがある。

4大送電網運営会社の発表によると、もし賦課金の一部が税金で賄われなければ、来年の賦課金は1kWh当たり9.651ユーロ・セント(約11.9円)にもなるだろうという。

ドイツでは再生可能エネルギー促進のために2000年に再生可能エネルギー法(EEG、正式名は「再生可能エネルギー優先法」)が施行された。この法律は、再生可能電力を20年間優先的に、従来の電力より割高の、その生産費に見合った固定価格(FIT)で買い取ることを決めている。そしてこの固定価格と、電力取引所での電力の卸売価格との差額は、賦課金として 消費者が電力料金に上乗せして支払うことになっている。そのために、再生可能電力が増えれば増えるほど、その固定価格が影響して賦課金も増えることになる。賦課金の額はさらに電力の卸売価格にも左右される。電力の卸売価格は、電力が市場で不足気味ならば高くなるが、多すぎれば下がる。卸売価格が下がれば下がるほど、高い再生可能電力の買い取り価格との差額が増大するので、賦課金の額は高くなる。従って電力料金も高くなる。

ドイツ政府が賦課金の一部を今後税金で賄うことに決めた狙いは、電気料金の上昇を抑えるためだ。電気料金が高ければ、電気自動車も電動の冷暖房装置も普及しない。そして車はいつまでもガソリンやディーゼルで走り続け、暖房には石油や天然ガスが使用される。その結果、多量の二酸化炭素はいつまでも排出されることになる。

一方、ドイツ政府は昨年末、地球温暖化に影響する二酸化炭素の排出量を下げる目的で、2021年1月から、排出される二酸化炭素に課金制度を導入することを決めている。二酸化炭素1トンの値段は当初25ユーロ(3075円)で、その後徐々に上がる予定だ。そうなるとガソリンや灯油の販売価格が高くなり、それは当然消費者の負担になる。その消費者の負担分を軽減するのが、今回の再生可能電力促進のための賦課金の値下げ発表だ。結果的には、二酸化炭素課金の一部が消費者に還元されるわけだ。

なお、再生可能電力の賦課金軽減のために導入される税金は2021年は108億ユーロ(約1兆3284億円) 、2022年には約80億ユーロ(約9840億円)になる見込みだという。また、それぞれの太陽光発電装置などで発電される再生可能電力に20年間続けて支払われる固定価格は、再生エネルギー法の導入直後の2000年には太陽光発電の場合で1kwh 当たり49ユーロ・セント(約60円)もあったものが、現在までには約6ユーロ・セント(約7.4円)前後までに下がっている。そのため、賦課金の総額がこれから大幅に増えるということはなく、将来的には減るだろうと言われている。

 

 

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