核廃棄物の入ったドラム缶から放射能もれ
脱原発をする理由の一つに、「核のゴミを安全に処理するという、子孫に対する責任を果たせない」ということがあると思います。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州にある、現在廃炉作業中のブルンスビュッテル原発で、核廃棄物の入った10個のドラム缶が腐食しているのが新たに見つかり、しかも中身が漏れ出していることを、8月20日ドイツメディア各社が伝えました。
ブルンスビュッテル原発の地下6室には、核廃棄物が入った鋼鉄製のドラム缶が計631個保存されています。2012年に腐食した缶が一つ見つかり、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州政府が、原発を運営するファッテンファル社に対して調査するよう求めていました。そして2014年2月に地下室の一つに検視カメラを入れて見てみたところ、70あるドラム缶のうち、18個が錆びついていることがわかりました。そして今回の発見です。
ローバート・ハーベック(Robert Habeck)シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州エネルギー担当相は、「これは新しい次元のものだ」とコメントしています。ドラム缶は錆びついているだけでなく、樽は腐食して中身が漏れ、保存室の床でセシウム137が検出されたからです。その上ファッテンファル社の説明によれば、一つの缶の蓋が、決められた通りに締め付けリングできちんと閉じられていなかったそうです。
地下室は厚いコンクリートの壁で覆われており、原発の職員と市民には危険がない、汚染水が地下水に侵入することもないとファッテンファル社と州政府は主張しています。しかしハーベック相はこれらの缶を地下室からできるだけ早く運び出し、中身を最終保存用のコンテナに移し変えるためのコンセプトを考えるよう、ファッテンファル社に求めています。
これらのドラム缶の一部は30年も前から地下室に積み上げてあり、「本当ならとっくの昔に最終処理場に運ばれているべきものであった、それほど長期に渡って保存するようにはできていない」ということらしいです。
ブルンスビュッテル原発は、エルベ河の河口にあり、大都市ハンブルクの75km北西に位置します。1976年に営業運転を開始。2007年に廃止され、2012年から廃炉作業が行われています。運転中も、非常に危険な原発として知られていたそうです。運転開始からわずか2年後の1978年には、原子炉圧力容器とつながる蒸気を逃す管にひびが入り、2トンもの放射性物質が放出、周辺地域に散らばりました。それが判明したのは事故2日後になってからで、その後も数多くのトラブルが続き、停止しては再稼働ということを繰り返してきました。廃炉になった今も、そんなに簡単には危険はなくならないようです。
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