世界最大の保険会社、石炭分野から撤退

まる / 2015年11月29日

11月30日からパリで国連気候変動会議(COP21) が始まるのを前に、興味深いニュースがあった。世界最大の保険会社アリアンツが、石炭分野での投資をやめる決定を下したというのだ。出典dpa通信

「アリアンツは石炭から撤退する」と、アンドレアス・グルーバー社長がドイツの公共放送ZDFの番組で発言したもので、「私たちはこれから、炭坑や、収益または発電の30%以上を石炭に頼るエネルギー会社にはもう投資しない」という。

アリアンツ社はこれからの6ヶ月間で、同社の持つ石炭関連株を売却し、一定の利子が見込まれる施設への投資分は保持するが、契約は延長しないという。これにより同社は、計40億ユーロ(約5兆4000億円)の投資額を回収することになる。

同社のこの動きは、石炭に投資する他の会社にも圧力をかけるだろう。昨年は、米国の石油王ジョン・D・ロックフェラーの子孫が、化石燃料発電への投資から手を引くことを発表して注目を集めた。そして今年6月には、ノルウェーの議会が、国の年金基金(ドイツではRWEとEonの株を持っている)を、石炭に投資しないことを決定した。フランスのアクサ保険も、石炭から撤退する予定である。

グルーバー氏は同時に、風力発電への投資を拡大することを宣言した。現在風力に投資している20億ユーロ(約2兆7000億円)を倍増するつもりだという。アリアンツ社は現在すでに、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、オーストリアで数多くの風力発電所や太陽光発電パークを所有しており、再生可能エネルギーへの投資額は25億ユーロ(約3兆3700億円)を越えている。アリアンツにとって決定的なのは、他の投資に比べて再生可能エネルギーの利益率が5〜6%も高いことでもある。

11月30日にパリで始まる国連気候変動会議を前にアリアンツがこのような決定をしたことを、環境保護団体「ウアゲヴァルト(urgewald)」は歓迎している。脱石炭が徹底的に実施されれば、「全金融業界にとって、模範的役割を担うための大きな一歩となる」と褒めている。

また「ウアゲヴァルト」は、ドイツの銀行による化石燃料への投資を批判している。同団体の調査によると、ドイツ銀行は最も気候に悪いとされる褐炭に33億ユーロ(約4兆4500億円) を投資しており、これは欧州最大の投資額だという。ドイツの銀行が2010〜2015年中旬までに欧州の褐炭産業に投じた金額は計87億ユーロ(約11兆7400億円)に上るという。

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