自転車で見に来るとVIP席プレゼント! ブンデスリーガのマインツ

まる / 2014年1月5日
温室効果ガス削減に向けて戦います

温室効果ガス削減に向けて戦います

サッカー・ブンデスリーガの1.FSVマインツというチームをご存知でしょうか? 日本代表フォワードの岡崎慎司選手が2013年夏からプレーしている、ラインラント•プファルツ州のクラブです。そのマインツは、ブンデスリーガで初めて「温室効果排出ゼロ・クラブ」宣言をしています。

 マインツのユニフォームの胸を飾るメインスポンサーは、ENTEGAという再生可能エネルギーの会社です。2011年に完成し、3万4000人の観客を収容するスタジアム「コファス・アレナ」を建設する際にも、できるだけ無駄なエネルギーを消費しない設計をしています。クラブハウスやファンショップ、ケータリングに使う電力もENTEGAが供給する再生可能電力でまかなっている他、省エネのスペシャリストである設備マネジャーまで雇って、常に改善に当たっているそうです。選手たちに向けてもセミナーを行い、個人個人で気候保護にどう貢献できるかを教えているそうです。

サポーターたちの協力も、温室効果ガス排出削減のために大切です。毎試合ごとに、公共の交通機関、自転車または徒歩でホームゲームに駆けつける人たちの中から数人を選んで、メインスタンドのVIP席で試合観戦できるチケットをプレゼントしています(バス降り場や自転車置き場で声をかけられる)。アウェーの試合へ行きたいファンたちには、車でなく電車で行くように薦め、電車と試合のチケットを試合後に事務所に送ると、抽選でユニフォームがもらえます。また、ファンクラブが望めば、ENTEGAの供給する温室効果ガス排出ゼロのバスを用意してくれます。

ということで、2012−2013年シーズンは1シーズン前に比べて、交通面での温室効果ガス排出量が9.3%削減されたそうです(アウェーでの移動では22%)。

マインツの会長ハーラルド・シュトルッツ氏は、「1.FSV マインツはこれまでも常に、新しい道を歩み、分別のあるやり方でビジョンを実現しようとするクラブでした。私たちは既存の考え方に囚われることなく、自分たちの社会に対する義務というものを自覚しています」と明言しています。

確かに、マインツというチームは、ブンデスリーガのクラブの中ではそれほどお金がある方ではなく、選手を獲得する際にも、ビッグクラブなら数百万、数千万ユーロを払ってある程度名の知れた選手を買ってくるところを、ほとんど無名に近い選手をただ同然で連れて来たり、自分たちのユースチームから上げたりしています。それでも戦術的に賢い、新鮮なプレースタイルで1部ブンデスリーガに定着し、高く評価される存在になっています。そんな中で、今では世界中のビッグクラブが招聘に躍起になっているユルゲン•クロップ現ドルトムント監督が生まれたのでした。ユルゲン•クロップは、マインツの選手(当時2部)だった時に、監督が解任となって、チームをコーチし始め、それがキャリアの原点となったのでした。

マインツのホームの試合に行くと、他のクラブの試合ではよく目にする、泥酔した荒っぽいファンというのを見かけません。バスから降りて来るファンたちは、おばあちゃんからお孫さんまで揃った家族連れや、若い女の子のグループだったりで、スタジアムの中も、とてもほのぼのとした雰囲気です。ちょっと“違う”クラブとして、環境を意識するというのも、ポジティブなイメージにつながっているはずだと思います。

1. FSVマインツのホームページ http://www.mainz05.de/mainz05/de/home.html

 

 

Comments are closed.