再生可能電力の発電量、2018年上半期に1000億kWhを突破

ツェルディック 野尻紘子 / 2018年7月15日

ドイツで再生可能電力の発電量が2018年上半期に1000億kWhを突破した。電力大手E.ONの計算によると、今年1月から6月までにドイツで風力と太陽光、バイオマス、水力で発電された電力は、前年同期比9%増の1049億kWhに達し、全電力消費量の36%を占めた。1000億kWhという電力は、E.ONによると、ドイツの1世帯当たりの年間電力消費量を2500kwhとした場合、全世帯の約1年分の消費量に相当するという巨大な量だ。

発電量が最も多かったのは風力発電で、全発電量の半分以上に当たる550億kWh(2017年は480億kWh)を占めた。そのうちの陸上風力発電は460億kWh(同400億kWh)で、洋上風力発電は90億kWh(同85億kWh)だった。太陽光の発電量は214億kWh(同198億kWh)だったが、この中には、一般家庭で発電・消費されるために送電網に送り込まれない電力は含まれていない。バイオマスは202億kWh(同204億kWh)、水力は84億kWh(同71億kWh)発電した。

連邦ネットワーク庁によると、この半年間で再生可能電力が最も多く発電された日は1月3日で、この日には暴風雨を伴う低気圧がドイツ全土を襲い、11億kWhが発電された。これは、その日の電力消費量の71.6%に当たったという。また、発電された再生可能電力の割合が、その日の電力消費量の中で最も多かったのは1月28日の日曜日で、81%を占めた。

2018年上半期の風力発電が前年比で大きく伸びたのは、2017年の年頭に、冬だったにも関わらず、例外的に風の吹かない日が長く続いたため、風力の発電量が比較的少なかったからだ。また2017年には、例年の4.5GW前後という容量に比べてずっと多い5.333GWの風力発電装置(約1800基の風車)が新規に設置されたのだが、そのうちの多くが、年末直前に稼働を開始したことも影響している。

ドイツでは最後の原発が停止する2022年末までに、風力発電装置の多い北部から電力消費量の多い南部に、再生可能電力を送るための高圧送電網を構築する必要がある。しかし、その建設は思うように進んでいない。そのため、前政府は特に陸上風力発電装置の建設にブレーキをかけており、2018年に設置が許可されている新規陸上風力発電装置の容量は3.8GW、2019年は2.8GWにすぎない。

しかし、この3月に成立した新連立政権は連立協定で、地球温暖化を防ぐためには再生可能電力の促進を強める必要があると強調している。交通分野や工業部門などで必要となる電力の需要もカバーするためだという。そして連立協定で、送電網が許容する限りという条件はついているが、そのためにはさらに、既に許可されている容量に加えて、2019年と2020年に陸上風力発電装置4GWW、太陽光発電装置4GW、またまだ容量の決まっていない洋上風力発電装置と合わせて2年間で合計約10GWの装置を設置する必要があるとしている。

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