日本の原発映画3本@第62回ベルリン映画祭

あきこ / 2012年1月29日

暗くて寒いベルリンに一条の光が差し込んだような華やかさを与えるのが、ベルリン映画祭だ。毎年、2月第2週の木曜日から10日間(今年は2月9日から19日まで)、ベルリンはポツダム広場を中心に、映画祭の賑わいで街全体がパッと明るくなる。今年で第62回を迎える映画祭を前に、1月中旬にはプレス用の試写会が始まり、1月31日には最終プログラムが発表される。

この発表に先立ち、映画祭ディレクターであるディーター・コスリック氏と外国記者協会の対話集会が開かれた。コスリック氏は冒頭、1年前にカイロのタハリール広場で始まった民衆のデモに触れ、2011年は変革、決起の年であったと述べ、その文脈の中で福島の原発事故に言及した。「昨年の映画祭ではチェルノブイリ原発事故から25年が経過し、その事故をテーマにした作品がコンペ部門で上映された。この作品についての評価はさんざんであったが、この映画が上映された約1ヶ月後、福島で原発事故が起きてしまった。日本の映画制作者たちはそれまでの制作を停止し、原発事故と向き合った作品を作りだしたが、その中から今年のベルリン映画祭フォーラム部門で、3本の原発事故に関するドキュメンタリー作品の上映を決定した」とコスリック氏は述べた。

カンヌ、ベニス、ベルリンの世界の三大映画祭の中で、ベルリンは映画祭誕生の時点からカンヌとベニスに遅れを取り、その独自性をアピールすることに大変な苦労を重ねてきたことは、第60回ベルリン映画祭を記念して作られたドキュメンタリー「熊の足跡(オリジナル・タイトルはSpur der Bären、熊はベルリンのシンボルで、映画祭の最優秀賞は金熊賞である)」というドキュメンタリーを見ればよくわかる。ベルリン映画祭の特徴は、時代と政治の動向に鋭く反応する点であり、それは今回の「アラブの春」を重点として取り上げていることにも表れている。

さて、フォーラム部門で上映が決定した原発関連のドキュメンタリーは以下の作品である。

岩井俊二監督「freiends after 3.11」
藤原敏史監督「無人地帯」
舩橋淳監督「Nuclear Nation」

また、ジェネレーション部門(青少年向けの部門で、審査員も子どもたちが務める)でも平林勇監督の「663114」という短編アニメーションが上映される。663114は、戦後66年の3月11日に起こった4基の原子力発電の事故を意味している。

舩橋淳監督は「主体性を失った無意識」という文章の中で、原子力発電所を持つことが本当に「恩恵」だったのかどうかを問うている。この疑問が映画製作の出発点になったのではないだろうか。「少し時がたったら本心が変わってしまう権力の言うなりには決してならないこと」という彼のメッセージが映画を通して伝わってくるのかどうか、作品を早く見たいものだ。

毎年、ベルリン映画祭の時期は、分厚いプログラムや新聞、テレビのニュースを見て、どの映画を見ようか、チケットが取れるだろうかとワクワクするのだが、今年は原発に関するドキュメンタリーだけはどうしても見なければならないと決めている。ワクワク感はなく、重い鉛を心に抱えた映画祭となってしまった。

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