福島を機にドイツも避難計画を見直し   

まる / 2014年4月13日

福島原発事故から3年。ドイツでも、深刻な原発事故が起きた際の対策が見直されています。2月14日、ドイツ連邦政府の放射線防護委員会は、原発事故の際の新たな対策案を発表しました。3年前の福島原発事故を機に、連邦環境省が依頼して見直しした。福島での事故の前にも、ドイツではレベル7の核惨事が起きることも想定はしてはいましたが、避難区域を定める際の計算基準にはしていなかったそうです。その規模の事故が起きる可能性はかなり低いという理由からです。これを反省し、これからは事故の起きる確率ではなく、事故が起きた場合の影響の大きさを計算基準にするとしています。

この対策案によると、ドイツ国内で大規模な原発事故が起きた際には、原発の周囲半径5km内の住民を6時間以内に安全地域に避難させることになっています。これまでこの地域は周囲2kmと決められていたそうです。さらにそれに隣接する地域20km以内に住む住人の避難は、事故後24時間以内に完了します。

そして、放射線の体内への吸収を抑制するヨード錠剤の配布対象を、今までは原発周囲50km内の住民としていたところを、新しい避難計画では、原発周囲100km内の住民に拡大します。ということは、100km以内に原発があるミュンヘンやハンブルクという大都市の住民も対象になります。その上、全国の幼児と青少年、妊婦のためには、ドイツ全国でヨード錠剤が備蓄されます。

原発5kmの住民をまず避難させるというと、「それで十分なの?」と思ってしまいますが、放射線防護委員会は、「範囲が広すぎると、本当に一番優先されなくてはいけない住民の避難が遅れる可能性があるため」と理由づけています。また、福島原発事故では、避難区域を同心円で決めるのは間違いであることが分かりましたが、半径5km以上の地域の住民は「その時の状況と気候条件を考慮して避難させる」とし、ドイツ気象庁の放射性物質拡散予想を判断材料にするそうです。

福島で得た教訓としては、「福島でも避難計画は定められていたものの、自然災害や他の選択肢がなかったこと、または担当者や住民が十分にその計画を把握していなかったために実行できなかったことが多い」「住民はリスクについて十分な情報を持っておらず、避難計画の避難・指示を理解できなかった。そのために、長い間、自分たちの置かれている状況を不安に感じながら生活しなくてはならなかった」とし、災害対策には質と分かりやすさが必然条件だと指摘しています。

ちなみに連邦制をとっているドイツでは、災害対策も各州政府の管轄になっています。連邦環境省は、この新しいリスクプランを各州の内務大臣に提案して合意を求めるそうですが、合意はほぼ間違いなく得られると見られています。

Comments are closed.