理想的なレジ袋は使い古しのマイバッグ
買い物をするとすぐにもらえるレジ袋ですが、ドイツでは濡れても丈夫なビニール製が多く使用されています。無料でもらえるビニール袋の価格が知りたくてネットで検索してみました。
例えば、縦横の大きさが38cm×45cmのビニール袋。ある会社が売っている袋の1枚当りの価格は、100枚購入すると19ユーロセント(約25.5円)、500枚購入すると9ユーロセント(約12円)、1000枚購入すると7.3ユーロセント(約10円)でした。購入数が多ければ多いほどビニール袋の価格が下がることがわかりました。それと同時にゴミが増えて、処理にかかる費用はますます高くなります。
1年に生産されるビニール袋の数はヨーロッパだけで1000億枚に及ぶと聞きました。生産原料は有限な資源である貴重な原油です。しかも使用時間は平均わずか20分。ゴミとなった袋の大半は燃やされますが、残りの80億枚は最終的に海へ流れ、何百年後に解けるまで、海鳥、魚の体内や海中に残ります。なぜこのような不経済で有害な製品が大量に使用されているのでしょうか。
ドイツでは1961年に大手デパートであった「ホルトン」が買い物客にビニール製のレジ袋をサービスしたのが始まりです。ビニール及びプラスチックは戦後の経済成長を表すシンボルでした。日本と比べると客に対するサービス精神がそれほど高くないドイツでは、ただでもらえる丈夫なビニール袋はお得感を感じる唯一のサービスでしょう。買い物をすればすぐにもらえるビニール袋は、今では使い捨て文化のシンボルになりました。
一般に「テューテ」と呼ばれるこのレジ袋を「テューテはいりません」と断わると「せっかくサービスしてあげるのに」というあきれた顔をされることもあります。「こんなものはテューテに入れない」という俗文が「とんでもない」という意味に使われているほど、「テューテ」は昔からドイツ人の生活に定着しているようです。
EU諸国のビニール製のレジ袋の年間消費数をくらべてみると、一人当たりの平均は、ブルガリアが421枚、チェコが297枚、EUの平均が198枚で、ドイツの消費数は71枚で少ないほうです。今月の発表によるとEUはこの数を2025年までに45枚に下げる方針です。目的は決まりましたが、問題は手段です。
アイルランドでは2002年に、ビニール製のレジ袋1枚に対して15ユーロセント(約20円)、後に22ユーロセント(約30円)の料金を取り始めました。消費量はたちまち90パーセントも減り、漁者と海洋観測関係者の話によると、北海に漂うプラスチックの量は明らかに少なくなったそうです。それと同時に市民の環境保護への意識が高まり、今ではアイルランドはEUの手本となっています。
特に発展途上国や新興工業国ではビニール袋だけではなく、薄いポリ袋がさらに問題となっています。捨てられたポリ袋は特に軽いので、あらゆる所へ飛び散ります。最悪の場合には海へ。そして波に砕かれ動物が餌と間違えて食べてしまいます。海鳥の94%までがプラスチックのきれはしを胃に溜めているそうです。世界全体のビニール及びポリ袋の正確な年間生産量はわかりません。推測によるとその数は5000億枚から1兆枚に達する見られています。中国、バングラデシュ、ルワンダ、パプアニューギニアでは絶対に禁止するなどの過激な手段を取り、削減に努めています。
ビニールが問題ならば紙製のレジ袋だったらエコでしょうか。アイルランドのプライマーク店のレジ袋は紙です。「飽きたら捨てたほうが安い」衣類を販売するこの企業は紙のレジ袋でファストファッションにめぐる問題をごまかしています。しかも比べると紙袋の生産にはビニール袋の3倍のエネルギーと資源が必要です。たった一つの長所は、紙は環境汚染物として残らないことです。
環境保護について意識している市民は木綿や麻の買い物袋を利用していますが、布繊維はビニール袋の約130倍の水やエネルギー量が生産に必要だそうです。そうなるとやはりビニール袋のほうがエコでしょか。ドイツのある大手ディスカウンターのレジ袋はエコ袋です。なぜならば生産にリサイクルされたビニールが使われているからです。安いと思い、ついたくさん買い物をしてしまう、このスーパーのレジ袋は大きく丈夫で、しかもリサイクルされたエコ袋です。ここでも消費者はエコなレジ袋でお茶を濁されているのではないでしょうか。
ドイツ連邦環境省の考えでは「生産されないビニール袋が環境に一番やさしい」。とすれば、買い物に行くときには、忘れずに自分の持っている袋を持参する。一番良いのは新しいエコバッグを買わないで、マイバッグを破れるまで使うことでしょう。
やまさんの「マイバックを敗れるまで使う」提案に大賛成です。
転載させてください。
日本のスーパーマーケットでは、レジに[レジ袋不要]の札が置いてあり、これを商品の上に置けば、割引になります。[NHK国際放送:元英語アナウンサー]
先月帰国したとき、これは良い習慣だと思いました。その一方、大量のポリ袋、ペットボトルや、以前までガラスの容器が使用されていた製品がプラスチック容器に入っていたり、地球は「プラスチック惑星」だと感じました。