ドイツの総発電量の約半分を占める再生可能電力
ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟の速報によると、再生可能電力がドイツの今年の総発電量に占める割合が45%に達した。前年比では5パーセントポイント上昇したことになる。そのことを、同連盟のアンドレー会長は「再生可能電力の凱旋」と評価する。
ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟(BDEW)によると、今年、再生可能電力の増加に最も大きく貢献したのは陸上風力発電だった。陸上と海上風力発電の合計は、1月1日から12月16日までにドイツの総発電量の24%に達し、過去に発電量が最も多かった褐炭火力発電は、全体の16%にとどまった。しかし、再生可能電力の割合がこれほど大きくなった背景には、コロナ禍で工場での生産活動などが低下し、電力の消費が減ったこともあるという。ドイツでは、電力の消費量が低下したり、再生可能エネルギーによる発電量が増加したりした 際には、再生可能電力を促進するための「再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)」に従って、再生可能電力が優先的に送電網に取り込まれ、化石燃料を燃やして生産する火力発電がまず停止されるからだ。BDEWは、褐炭火力発電の発電量は、前年比で今年7%低下しただろうとしている。
アンドレー会長はただ、ドイツで再生可能電力の発電量が年々増えてきたことを、単純に喜んでいるだけでは十分ではないと警告する。まず、欧州連合(EU)は、2050年までに欧州で発生する二酸化炭素を減らしてカーボン・ニュートラルにするという目標を掲げている。つまり生活や生産の際に発生する二酸化炭素をプラス・マイナス・ゼロにすることを狙っているのだ。EUはさらに先ごろ、その途上である2030年までには、EU 加盟国の二酸化炭素の排出量を1990年比で55%削減することも決めたばかりだ。
これからはドイツも、環境への負担を益々軽減するために、環境に優しい再生可能電力で電気自動車を走らせ、暖房も再生可能電力で稼働するヒートポンプに切り替え、またエネルギー源として用途幅の広い水素も再生可能電力を使って生産する必要がある。ということは、再生可能電力の供給は、以前にも増して拡大する必要がある。アンドレー会長は、現在連邦経済エネルギー相が示している2030年のドイツの年間総合発電量の目標値580テラワット時は、おそらく十分でないだろうと語っている。