東日本大震災が日本を襲い、福島原子力発電所での大惨事が起きてから2年半近くになろうとしている。事故から9か月余り経た2011年12月16日、当時の野田首相が原発事故収束を宣言した。この“収束宣言”を疑問視するドイツのメディアの報道についてはすでにこのサイトでも伝えている。福島の事故以来、テレビのニュースと新聞、さらにオンラインで読める新聞・雑誌を一生懸命読んでいるが、8月20日以降、ドイツのメディアで福島に関するニュースが目立って増えている。汚染水の海洋への流出、貯蔵タンクからの汚染水漏れがその原因だ。いくつかの代表的なメディアを見ていると、東電だけではなく日本政府への不信の声が聞こえてくる。 続きを読む»
近所のスーパーの魚売り場で順番を待っていると、前のお客さんと売り子さんの会話が聞こえてきた。「このお魚、あの危ない所でとれたものじゃないわよね?」「危ない?ああ……もちろん当店では、汚染地域でとれる魚は置いていませんよ」……なんともいやーな気持ちがするのだった。福島第1原発で溜まった汚染水が大量に海へ流れ出ていることを東電が認めたというニュースは、当然ドイツにも伝わっている。私は実はこの後もあと2回、福島に絡んで複雑な思いをした。
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8月14日の午後4時半、ドイツ統一の象徴であり、今ではベルリン観光の最大スポットとなっているブランデンブルク門前のパリ広場に、年配のアジア人女性たちの大きな写真をかかげたり、プラカードや横断幕を持ったりする人たち、70人あまりが三々五々集まってきた。多くの人が色とりどりのバラや百合の花、あるいは野の花など、思い思いの花を手にしていた。これらの花は戦時下の性暴力の犠牲となって筆舌に尽くしがたい苦しみを味わったこれら写真の女性たちにささげられた。女性たちの多くは、加害者の謝罪も正当な公的補償も名誉回復も得られないまま既に亡くなっている。この日は、今年はじめて国際的に行われた「日本軍『慰安婦』メモリアルデー」で、ベルリンでもその一環として国際的なスタンディング・デモが行われたのだった。 続きを読む»
ベルリンの壁の脇で涼むニューヨークの市民
地球温暖化が進んでいるのでしょうか。世界中で史上最高の猛暑が記録されています。地球温暖化の主因は温室効果ガスです。温室効果ガス排出を削減するために、飛行機での長距離旅行をやめたという社会学者、ヴェルツ教授の深刻な顔が思い浮かびました。「アメリカを見ずしては世界が見えない」という知人からの言葉を良い口実として、今回、米国行き長距離旅行に踏み切りました。 続きを読む»
ドイツ全国消費者センター連盟の調査によると、ドイツ人消費者の82%は現在も2011年にドイツ政府が決定した脱原発を支持している。しかし消費者は脱原発でこれ以上負担のかかることに反対している。特に問題になっているのは、電気料金の上昇に歯止めがかからないことだ。ドイツの電力市場の再編成は必須で、9月22日の総選挙を控えてドイツの各党は色々の提案をしているが、将来がどうなるのかはどうも見えて来ない。 続きを読む»
ハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー氏
ベルリンも今年の夏は猛暑が続いた。広島原爆忌の8月6日、暑い夏の日のさわやかな夕べ、ベルリン広島通りにある日本大使公邸で今年も「平和コンサート」が催された。2009年に始まったこの「平和コンサート」では、毎回ゲストの講演が注目されてきたが、5回目の今年の講演者は東西ドイツ統一に大きな役割を果たしたドイツの元外相、ハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー氏(86歳)だった。長年「核のない世界」実現のために尽力してきた同氏は「核兵器廃絶に向けて今こそ真剣に努力するよう」国際社会に呼びかけ、特に原爆の被害を受けた唯一の国日本と核兵器を持たないことを宣言しているドイツの果たすべき役割を強調した。
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