ドイツの脱原発とエネルギー転換の現状

昨年の大晦日に、ドイツ南部、バイエルン州のグンドレミンゲン原発で、B原子炉が操業を停止した。ドイツは2011年の夏に、2022年までに段階的に全ての原発から撤退することを決め、段階的脱原発の具体的な工程表を決定した。グンドレミンゲン原発のB原子炉の操業停止は、この工程表に従ったもので、これによってドイツで稼働する原発は残り7基となった。この原発の操業停止は、ドイツのマスメディアでもほとんど取り上げられなかったが、そのこと自体、ドイツの段階的脱原発が順調に進んでいることの証ではないかと私には思われた。

グンドレミンゲン原発。(Wikipediaより)
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人類の未来を決めるのは今だ

「気候変動の危険を最小限に抑えるために、人類は1日も早く二酸化炭素の排出量を減らさなければならない。二酸化炭素をこれからも制限なしに排出するなら、我々は後日、二酸化炭素の排出量を急激に減らさなければならなくなる」と警鐘を鳴らすのは2017年のブループラネット賞の受賞者、ポツダム気候影響研究所(PIK、 Potsdam-Institut für Kilimafolgenforschung)のシェルンフーバー所長だ。毎年ベルリン自由大学で行われる恒例の「ダーレムのアインシュタイン・レクチャー」で話した。 続きを読む»

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2018年の新年のご挨拶

Photo by  Sachiko Aoki

皆さま、新年おめでとうございます。2018年が世界の平和と環境保護にとって少しでも良い方向に向かいますように、そして、皆さまにとって、喜びの多い幸せな年になりますように、お祈りいたします。

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再開なったベルリンの「州立オペラ」

日本の著名なビオラ独奏者であり愛弟子も大勢いる今井信子によると、ベルリンは今「世界中の音楽家が最も好んで演奏したい町、音楽学生が最も好んで学びたい町」だそうだ。そのベルリンでこの12月、7年間の修復期間を終えた「州立(国立)オペラ」が再開した。一年の終わりに、ベルリンの文化的話題をお届けする。

ベルリンの「州立オペラ」。©Marcus Ebene

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ドイツの新政権樹立は、早くても来年の4月?

9月24日に行われたドイツ連邦議会の選挙結果を受けて、メルケル首相が党首を務めるキリスト教民主同盟(CDU)とバイエルン州を基盤とする姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)、それに自由民主党(FDP)と緑の党の4党の連立予備交渉が10月18日に始まった。しかし、4週間にわたる困難な協議のあと、11月19日、FDPが「納得できない政権には加われない」として連立交渉からの離脱を表明したため、交渉は決裂し、事態は振り出しに戻った。その後、CDU・CSUと社会民主党(SPD)との連立政権樹立の道が模索されているが、その道はかなり険しく、今のところ、合意に至るかどうかも不明である。これまでの経過を振り返り、今後の見通しを伝える。 続きを読む»

「慰安婦」を知るための映画月間に参加して

この11月、ベルリンの中心部にあるフンボルト大学で、ある映画月間が開催された。「Women’s Bodies as Battlefield」と題し、いわゆる「慰安婦」をテーマに取り上げたドキュメンタリー作品6本が、毎週水曜夜、全5回にわたって上映された。それぞれ韓国、中国、フィリピン、インドネシア、台湾の元「慰安婦」を取材している。第二次世界大戦中、アジア各国で日本軍の「従軍慰安婦」制度の犠牲となった女性がいかに多かったか、彼女たちのその後の生活がいかに困難なものだったかを知る機会となった。

映画月間のパンフレット。写真は、上映作品「わたしたちは美しかったから」より。

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