石炭火力発電からの撤退をめぐるドイツの事情

地球温暖化を抑制するため、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前との比較で1.5〜2度に抑えるということを決めた2015年の「パリ協定」は、異例のスピードで昨年末に発効した。以来、脱炭素化の動きがクローズアップされ、主な温室効果ガス発生源である石炭火力発電に対する風当たりが強くなっている。しかし、環境問題の先進国を自負してきたドイツには、石炭火力発電からの早期撤退を決められない事情がある。 続きを読む»

2050年までに「エコな郵便配達」を可能に

先頃、ドイツ社会民主党(SPD)党首のマルティン・シュルツ氏は、ベルリンにあるドイツ郵便の子会社を訪れ、同社の小型トラック規模の小包配達車「ストリート・スクーター」(下記写真)について誉めた。というのも、この小型配達車が電気自動車なのである。このストリート・スクーターの成功は、大手の自動車企業にとって大きな刺激になるだろう、とシュルツ氏は語った。

参考写真:Deutsche Post AG

続きを読む»

映画「目に見えない人たち」ー「静かな英雄たち」へのオマージュ

ナチによる組織的で大規模なユダヤ人迫害が始まったのは、1938年11月9日のことで、79年目にあたった今年の11月9日にも、この時の犠牲者を追悼するさまざまな行事がドイツ各地で行われた。また、この秋には、ユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れた1943年のベルリンで身を隠し、生き延びることのできた若いユダヤ人の運命を描いたドイツ人監督の映画「目に見えない人たち」が封切られ、話題になっている。 続きを読む»

過大評価される電気自動車

世界各地で電気自動車(電気乗用車)が普及したら、世界の二酸化炭素排出量は軽減するだろうか。パリにある国際エネルギー機関(IEA)がこの度発表した今年度の報告書によると、電気自動車が大幅に普及しても世界の石油消費は当分減らず、電気自動車のおかげで減るだろうと予測される二酸化炭素の排出量は、2040年の時点でも僅か1%にしかならない。いくつかの新聞や雑誌が報道してしている。 続きを読む»

ボンで開催中のCOP23の議長国は、フィジー

国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が11月6日から17日までドイツのボンで開かれているが、この会議は本来、「国連気候変動フィジー会議」と呼ばれるべき会議だということを皆さんはご存知だろうか。南太平洋の島国フィジー共和国が、気候変動の影響をもっとも受ける島国を代表して初めて議長国となった会議で、フィジーのバイニマラマ首相が会議の議長を勤めている。 続きを読む»

難しい連立政権樹立のための政党間話し合い

ドイツで9月24日に実施された総選挙の結果を受けて、3週間前から新しい連立政権樹立の可能性を探る政党間の話し合いが始まっているが、進展がなかなか見られない。この話し合いに参加しているのはメルケル首相の率いるキリスト教民主同盟、姉妹党のキリスト教社会同盟、それに自由民主党と緑の党の4党だ。党の方針に元々大きな差のあるこれら4党が一致するのは、始めから非常に難しいとされ、各党にどこまで妥協の準備があるかが注目される。連立の話し合いが失敗した場合の総選挙のやり直しも語られるなか、メルケル首相は「11月16日までに前段階の話し合いを終えて、その後本格的な連立交渉に入りたい」と話す。クリスマスまでに新政府が誕生することが一般的に望まれている。

続きを読む»