ドイツ人が今、最も憂慮するテーマは気候変動問題だと言う。背景には、猛暑と干ばつの酷かった昨年のドイツの夏があるようだ。この冬もこの春も、気温は例年になく高く、雨も雪もほとんど降らずに、地面が極度に乾燥している地方は多い。そして市民は、これを気候変動の影響だと受け止めている。そこに、ドイツでも昨年末から始まった生徒たちによる気候変動対策の強化を求めるデモ、「Fridays for Future(未来のための金曜日)」が拍車をかけている。ここにきて、気候変動防止のために、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素をほとんど排出しない原子力発電の稼働延長を支援する声も聞こえてくる。原発を操業している電力会社はどう考えているのだろうか。
©️flightlog
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ベルリンの学校では、昨年8月20日から始まった一年が終了し、6月20日に夏休みに入った。その前に通信簿を受け取らねばならず、ちょっと憂鬱な気分の生徒もいただろう。いつもは成績をつけられる側の生徒だが、毎週金曜日にドイツ各地で生徒たちが行っているデモ、「Fridays for Future」(FFF) のベルリンの現場で、「ドイツの温暖化対策 6、倫理 6、責任感 6」と書かれた通信簿風のプラカードを見かけたことがあった。6というのは、ドイツでは落第点だ。しかしこのプラカードを作成した生徒だけでなく、実は一般のドイツ市民も、ドイツ政府の環境・気候保護対策について厳しい評価を下していることが、5月28日に発表された「2018年環境意識調査」で明らかになった。
「2018年環境意識調査」では、現在の環境への取り組みは不十分と市民がみなしていることがわかった。
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ドイツ東部、ザクセン州のナイセ川を挟んでポーランドと国境を接する人口5 万6000人ほどの小さな町ゲルリッツについて、日本ではほとんど知られていないのではないだろうか。「ドイツ東部で最も美しい古都」「ナイセ河畔の真珠」などと呼ばれるゲルリッツだが、実は旧西ドイツでも、東西ドイツが統一するまで、こんなに素晴らしい町が旧東ドイツに存在するのを、ほとんどの人が知らなかったといっていい。そのゲルリッツの市長選が、このほど内外の注目を集めた。それは、今回の市長選がこの美しい町の今後の政治状況を決める試金石とも言える選挙だったからだ。
ゲルリッツの美しい街並み。装飾を施された建物が多く、かつての豊かさを物語る。
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米ハワイ島の海抜3397メートルのマウナ・ロア山に位置するマウナ・ロア気象観測所でこの5月11日、415.26 ppmという大気圏の二酸化酸素の濃度が観測された。地球温暖化の主な原因である二酸化炭素のこのような高い濃度は、300万年以来存在しなかったという。この事実は、我々が世界規模で二酸化炭素の排出量を大幅に抑えなければならない必然性を目の当たりに示している。ドイツではこのところ、二酸化炭素削減のために「二酸化酸素税」を導入することの是非が話されている。
©️ Ian Britton
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5月23日から26日にかけて、欧州連合 (EU) の立法府である欧州議会の選挙が行われた。前回の選挙は5年前の2014年で、その後、大量の難民が欧州にやって来たり、イギリスがEU離脱を決めたりと、EUはいろいろな試練に立ち向かわねばならなかった。それに伴ってEUに懐疑的な人たちが増え、今回の選挙はEUの今後を大きく左右する「運命の選挙」とまで言われた。全体の選挙結果については日本のメディアも詳しく報道したので、ここではドイツでの結果を中心に報告したい。
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地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出を避けるために、いろいろな工夫がされている。その一つが、このほどドイツに登場したトロリーバスならぬ「トロリートラック」用のアウトバーンだ。人呼んで「E−ハイウェー」。ここでは、アウトバーンの車線の上に張られた架線から走行中のトラックに電力が供給される。それと同時に、トラックに搭載されたバッテリーも充電される。
©️Siemens AG/München Berlin
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