9月1日に行われた東部ドイツの2州、ザクセン州(州都ドレスデン)とブランデンブルク州(州都ポツダム)の州議会選挙ほど、その結果が注目された州議会選挙は近年なかった。それは、当初の世論調査で、右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、この2州で第一党になる可能性が伝えられたからである。ドイツ統一以来30年間、ザクセン州ではキリスト教民主同盟(CDU)が、また、ベルリンを取り巻くブランデンブルク州では社会民主党(SPD)が、一貫して政権を担当してきた。かつて国民政党と見なされてきたCDUとSPDが、その退潮傾向をストップすることができるかどうかも、今回の州議会選挙での大きな関心事だった。
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ベルリンで展示された「旅する平和像」。「あいちトリエンナーレ2019」で展示されたものと、肩にとまっている鳥の色が違う。
古い食器やアクセサリー、凝った装飾のほどこされた本棚やテーブルなど、見物しながら歩くだけでも楽しい、ベルリン•シャルロッテンブルクの骨董街。そこに白地にオレンジ色でGEDOKと書かれた看板を掲げた、小さなギャラリーがある。8月2日から25日までこのギャラリーで、『TOYS ARE US』(私たちはおもちゃ) というタイトルの美術展が開かれた。文字通りおもちゃをテーマにした展示だが、そこに「あいちトリエンナーレ2019」の企画展『表現の不自由展・その後』が開幕早々中止されてしまったきっかけとなった、あの「平和の像」が 展示された。
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8月1日、ポーランドの首都、ワルシャワで75年前のワルシャワ蜂起の犠牲者を追悼する記念式典が行われた。この式典に出席したドイツのマース外相は「ドイツ人がドイツの名においてあなた方の国に対して行ったことを、私は深く恥じています」と述べ、ポーランド人に対してナチス・ドイツの犯罪に赦しを乞うた。 続きを読む»
ドイツでは今年初めから、まだ学校に通う大勢の生徒たちが、毎週金曜日に授業を休んで地球温暖化対策を求めるデモ「Fridays for Future (未来のための金曜日) 」に参加し、盛り上がっている。「私たちの未来を奪わないで」と訴える彼らの声は大人たちにも届き、地球温暖化の最大の原因とされる二酸化炭素の削減は、政治的にもますます重要な課題となってきた。乗り物の中で二酸化炭素を最も多量に排出するのが飛行機だという事実と意識が一般に広まりつつあり、飛行機に乗るのは気が引ける、恥ずかしいという意味の「Flugscham(飛行機に乗ることの恥)」という言葉までできた。しかし、夏休みが始まってみると、どの空港も休暇に出る人たちで、例年以上に混雑している。皆はなぜ、飛行機に乗ることがやめられないのだろうか。どうすれば、飛行機の利用を抑えことができるのだろうか。活発なディスカッションが始まっている。
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二年ぶりにギリシャのエーゲ海で休暇を過ごした。今回もヨットに寝泊まりし、島から島へと航海したので、多くの時間を海で過ごした。燦々と輝く太陽、紺碧の空と海、地震や火山爆発がもたらした起伏の多い荒々しい地形の島 、そこに点在する白い街並み。エーゲ海の風景は、まるで絵葉書のようだった。それでも、二年前の休暇では、時々幻滅させられたことを思い出した。
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7月16日火曜日の夜7時過ぎ、ヨーロッパ中の注目がフランス・ストラスブールの欧州議会に集まったと言っても言い過ぎではなかった。わずか2週間前に欧州理事会によって突如次期欧州委員会委員長候補に指名されたウルズラ・フォン・デア・ライエンを欧州議会が承認するかしないか、1時間前に始まった議員の投票結果が7時過ぎ、いよいよ発表されることになっていたからである。私自身も固唾を飲んで発表を待った。5月末に行われた欧州議会選挙で筆頭候補ではなかった彼女を、欧州理事会が次期委員長候補に選んだことに対する欧州議会議員の反発が強く、拒否される可能性があったのだ。
欧州議会議員の前で、欧州委員会委員長立候補者として情熱的な演説を行ったフォン・デア・ライエン©️European Union/Fred Marvaux
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