ドイツは地球温暖化防止に貢献できるだろうか?

今年もまた地球の温暖化対策を話し合う「国連気候変動枠組条約第25 回締約国会議(COP 25)」が12月2日からマドリードで開催されている。このところ世界中で温暖化の被害が目に見え始めており、2015年にCOP 21で取り決められた「パリ協定」に従って、地球の平均気温の上昇を産業革命以前の平均気温に比べて1.5 度ないし2度以内に収めることは非常に望ましい。そのためには、どの国も地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量の削減に努力すべきだ。しかし、例えばドイツのように、現在世界規模ではあまり多くの二酸化炭素を排出していない国が努力しても、大して意味がないという意見がある。二酸化炭素を大量に排出している国がまず先行すべきだというわけだ。この見解に対して、ヴッパタール気候環境エネルギー研究所がこの秋、興味深い研究を発表した。タイトルは『環境保護に関する討論』で、与党である社会民主党(SPD)系のフリードリヒ・エーベルト財団の依頼で作成された。

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ドイツ人の大多数は、SPDの新しい共同党首に懐疑的

12月6日、ベルリンで行われた定例党大会で、新しい党首が正式に選出された。

11月30日、土曜日の夕方、ドイツ社会民主党(SPD)の党員投票の結果が発表されると、ドイツ全国に衝撃が走った。この日行われた決選投票で新しいSPDの共同党首に選ばれたのは、当選確実とみなされていたオーラフ・ショルツ連邦財務相(連邦副首相)とクララ・ガイヴィッツ氏(ブランデンブルク州議会議員)のペアではなく、大連立に批判的なノーベルト・ワルター=ボーヤンス氏(元ノルトライン=ヴェストファーレン州財務相、67歳)とザスキア・エスケン氏(連邦議会議員、58歳)のペアだったからだ。ショルツ組の支持率は45.3%に過ぎなかったのに対し、ワルター=ボーヤンス組の支持率は53.1%で、勝利した。この結果キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とSPDの大連立政権であるメルケル政権の行方に急遽暗雲が垂れ込めたと受け取られたのだった。 続きを読む»

発言し始めた若者たち 

「私たちはここにいる!私たちは大声をあげる!それはあなたたちが、私たちの将来を奪ったからだ!」。昨年末からドイツでも毎週金曜日に行われている温暖化対策を求める生徒たちのデモ、「Fridays for Future (未来のための金曜日)」(略:FFF) では、生徒たちがこのフレーズを歌うように節をつけて大声で連呼する。この行動が象徴するように、今、「若者たちは発言したがっている」ことが、ドイツの若者たちの意識調査で明らかになった。

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ベルリンの壁崩壊から30年、なぜ東西間の心の壁はなくならないのか

1990年、まだ残っていた壁の前で記念写真を撮る子供

30年というのは長い年月のようで長くないのかも知れない。ドイツを東西二つの国に分断していたベルリンの壁が崩壊してから、この11月9日で30年が過ぎた。そして1990年10月3日に旧東西両ドイツが統一してからも29年が過ぎている。壁が崩壊した当時、多くの人たちは「一世代も経てば、東西両ドイツ間の差はなくなり、両国の住民は 一つになっているだろう」と考えていた。一世代とは約25年だから、旧東西ドイツの差はそろそろ無くなっても良いはずの時期にきている。しかし実際には30年が過ぎた今も、東西間の差は消えていない。それどころか、心の壁は広がりつつあるようにも見える。どうしてだろうか。

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壁崩壊30周年を迎えたベルリンの表情

ドイツはきのう11月9日、ベルリンの壁崩壊から30周年の記念日を迎えた。ベルリンの壁崩壊と言われるものの、それはベルリンだけの出来事ではなかった。東西ドイツの間を40年間(壁が作られてからは28年間)分断してきた1378キロメートルにわたる境界線の全ての壁が思いがけなく開いたのだが、それは1989年11月9日のことだった。統一ドイツの首都ベルリンでは、この歴史的な大事件、壁崩壊30年を記念するイベントが1週間にわたって200以上行われてきた。世界中からの観光客も多数訪れて、街は賑わった。新聞やラジオ・テレビは、しばらく前から連日、壁が崩壊した当時のことを思い起こし、体験者のルポや現在の東西のドイツ人の意識の差などについて報道してきた。

壁崩壊30周年記念イベントの目玉、”Vision in Motion” というインスタレーション

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知らないうちに、あなたも電力の大量消費者

皆さんは、インターネットも決して環境に良くないことをご存知だろうか。インターネットの使用が始まったばかりの頃、ペーパーレスという言葉が流行った。この言葉は、情報の処理や資料の保存などに、もはや紙は必要なく、インターネットは便利なだけでなく環境にも優しいという意味で使われた。ところがインターネットは、情報が増えれば増えるほど、驚くほど巨大な量の電力を必要とすることがわかってきた。今では、エネルギーの大量消費者に成長している。

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