第二次世界大戦後、東西に分断されたドイツが41年ぶりに統一したのは、ベルリンの壁が崩壊した翌年、1990年10月3日のことだった。今年はドイツ統一30年の記念すべき年だが、毎年10月3日の「ドイツ統一の日」に各州持ち回りで行ってきた盛大なお祝いのイベント「市民の祭典」は、コロナ危機のため例年のようには行われない。今年の統一記念日の記念行事を担当するのは、現在連邦参議院の議長州であるブランデンブルク州で、公式の統一中央記念式典は、州都ポツダムで行われ、シュタインマイヤー連邦大統領やヴォイトケ・ブランデンブルク州首相のスピーチが予定されている。ドイツ連邦政府は、毎年ドイツ統一の日を前に「統一の現状」についての年次報告をまとめており、2020年の年次報告が9月16日に発表された。 続きを読む»
今年の10月3日、ドイツが統一30周年を迎えるのに合わせて、旧東ドイツ地域にあるブランデンブルク州の州都ポツダム市では、9月5日から10月4日まで、『30年、30日』というタイトルの屋外展示が行われている。これは例年統一記念日に行われる市民の祭典に代わって開かれたもので、市の中心部にある広場や遊歩道のあちこちに30の展示ブースと、ビデオ画面が取り付けられた30本の柱が設置されていて、散歩を楽しみながら見学できるようになっている。天気の良さにも誘われて、先週末、出かけてみた。
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コロナ禍が原因でドイツの種々の業界が苦境に立たされている。一般市民に人気のある見本市やオクトーバーフェスト、イベントなど、大勢の人たちが集まる催し物は次々に開催中止を発表している。お天気の良かった夏には、店舗前の歩道や庭に出したテーブルが賑わったレストランや、休暇の季節でいくらか元気を取り戻したリゾート地のホテルなどの売り上げは、今のところ例年の半分以下と言われている。映画館やコンサートホールなど、コロナ規制のために入場客の数が従来の約4分の1程度に絞られている業界もあり、政府の資金援助があっても、この秋から冬にかけて倒産するドイツ企業は大きく急増するだろうと憂慮されている。そんな中、このほどドイツの基幹産業である自動車業界の代表が、連邦及び州政府の代表や労働組合関係者とビデオ会議を持った。同業界の苦境を乗り切るための話し合いになるはずだったのだ。
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8月29日の土曜日、ベルリンでは政府のコロナ規制措置に反対する大規模なデモが行われ、警察発表で3万8千人が参加した。このデモはシュトゥットガルトのQuerdenken 711というグループが主催したものだが、Querdenken(クヴェーアデンケン)というのは「一般の風潮に逆らった考え方をする」という意味である。こうした名前のもと、「政府の規制措置は個人の自由を制限するものだ」と考える人たちだけではなく、「コロナウイルスは存在しない。コロナ危機は、特定の人物に操作されてつくりだされた」という陰謀説を信じる人、アメリカの陰謀論「キューアノン」支持者、ワクチン接種反対派、神秘主義者、反ユダヤ主義者、反イスラム主義者、ネオナチ、極右主義者、右翼ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の政治家や支持者その他種々雑多な人たちが、このデモのために全国からベルリンに集まってきた。
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初夏にはドイツで日々新しく確認されるコロナ感染者の数は、200人から300人と少ない日もあり、このままコロナ危機は乗り越えられるのではないかという希望が持てた。しかし、最近になってその数は千人を越す日が続いている。そのためドイツでは今でも、欧州連合(EU) か欧州経済領域に属する国以外のいわゆる第三国からの入国は、いくつかの例外を除いて厳しく制限されている。こうした状況下で自由に会うことができなくなった非婚のカップルがいることを受けて、ドイツ政府は8月10日からは、第三国からの非婚のパートナーも入国ができるように制限を緩和した。なかなか粋な計らいだ。
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もともとマスクに対して悪いイメージを持っていたドイツ人だが、4月末、16州全てで公共交通機関を利用する場合や買い物をする場合にマスク着用が義務付けられて以来、マスクは日常生活に欠かせないものとなった。しかし「マスク嫌い」の気持ちは、そう簡単には無くならないようだ。ロックダウンが徐々に解除されても、マスク着用義務は無くならず、マスクは「コロナ危機のシンボル」となった感さえある。マスク着用の義務を原則として認めていても、わずらしいと感じる人も増えているようだ。また、マスクを全く否定する人たちのデモも各地で起こっている。ドイツのマスク事情の今をご紹介する。
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