「ポスターで社会が変わると思っているんですか?」

ベルリンで行われたマコさんの講演会の様子。相方のケンさんを原子炉に見立てて説明をしている。

ベルリンで行われたマコさんの講演会の様子。相方のケンさんを原子炉に見立てて説明をしている。

今年2〜3月に、福島原発事故について取材を続けるジャーナリストのおしどりマコさんが、ドイツ、ベラルーシを訪れ、取材や講演会を行った。私はベルリンで講演会に参加し、マコさんの明快な話しぶりや熱心な取材姿勢に感銘を受けた。そのドイツ・ベラルーシ旅行の報告をする講演会が日本で行われ、講演の書き起こしがインターネット上にアップされている。ドイツの学校での講演会で、若者たちから率直にぶつけられた質問や不信感、それについてマコさんが考えたことが書かれていて、私にはとても興味深いものだった。 続きを読む»

原発事故3年、変化するドイツ人の日本観

東日本大震災から3年を迎えた今年3月11日、ドイツのメディアは特に福島原発事故後の日本の現状について大きく取り上げた。なかでも私の心に突き刺さったのは、ケルンに本拠を置くラジオ局、ドイチュラントフンクの解説だった。 全国を聴取エリアとするドイツで唯一の同局は、報道を中心とするレベルの高い番組で知られ、ラジオはこの局しか聞かないという人もかなり多 い。日が経つにつれてこの局の3月11日の解説がさらに重みを増して私の胸に迫ってくるようになった。 続きを読む»

日本人は原発報道に飽きてしまったのだろうか?

先日、私が書いた「ベルリンで行われたおしどりマコさん講演会」という記事に対し、ベルリン在住のある日本人からメールをいただいた。その方は、「マコさんが言っている福島の実態には、日本では報道されていないこともあるようだが、本当のことなのだろうか?」という疑念を抱いたようだった。それを受けて、あれこれ調べるうち、私は日本のメディアの報道姿勢に疑問を持った。 続きを読む»

子どもたちが“科学への誠実さ”の証人になる - 福島原発事故後の人々を描いた本

Brandner Buch2月半ば、新著のプレゼンテーションへの招待メールが送られてきた。読んでみると、このサイトでも紹介した『Japan レポート3.11』の著者ユディット・ブランドナーさんからのもので、彼女の最新作“Zuhause in Fukushima”をウィーン市内の各所で発表するという案内だった。『我が家は福島に』とでも訳せるだろうか。ウィーンまでは行けないが、早速ネットで注文。2週間後の3月上旬に出版されたばかりの本が届いた。ワクワクしながら読み始めた。 続きを読む»

原発なしでも豊かに、風土を生かしたオーストリアの自然電力村

top fertig1965年から村の紋章に「高圧電気」のマークを付け加えたヴァンダンツ。人口およそ3000人のこの村はオーストリアのフォアアールベルグ州南部、海抜2000m以上の山々に囲まれたモンタフォン流域にあります。川沿いに建つ無数の鉄塔には蜘蛛の糸のごとく高圧線がかかっています。スキー客で賑わうヴァンダンツの持続可能な雇用は観光業ではなく、実は発電だということを知りました。 続きを読む»

NHK新会長の問題発言に思う公共放送の中立性

ドイツの公共国際放送「ドイチェ・ヴェレ」のウェブサイト。http://www.dw.de

しばらく前のことになるが、NHK新会長の籾井勝人氏の公共放送に関する問題発言にショックを受けた。籾井会長は「国際放送は国内とは違う。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」などと公共放送の政治的中立性が疑われるような言葉を公然と述べたのだ。この言葉を耳にしたことは、ドイツの公共国際放送での私自身の経験を振り返るきっかけになった。 続きを読む»