メルケル首相の新年の挨拶

ドイツでは、大晦日に連邦首相が国民に対して新年の挨拶を送るがことが恒例になっている。メルケル首相の、首相就任以来14回目の今年の新年の挨拶は、珍しく、いくらかの自己反省を込めたものだった 続きを読む»

新年おめでとうございます

Photo by Sachiko Aoki

 

みなさま、新年おめでとうございます! 2019年の世界が、過ぎ去った年より平和になりますように、そして皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

ベルリンは、今年もブランデンブルク門前の大晦日の大規模なパーティーと盛大な花火で、新しい年を迎えました。比較的暖かかったものの小雨が降るなか、この大晦日のイベントには、ドイツだけではなく、世界各国から100万人近くの人々が集まって、ともに新しい年の到来を祝いました。

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ベルリン自由大学70周年記念−自由の大切さを訴えたヘルタ・ミュラーさん

ベルリンにはfrei(フライ)という形容詞のついた公共施設がいくつかある。Freie Universität (フライエ・ウニヴェルズィテート)が良い例だ。freiというドイツ語の主な意味は「自由な」だ。だからFreie Universitätを日本語に訳すと「自由大学」となる。何が自由かというと、この大学は、学問と研究の自由の許されなかった東ベルリンの大学から分離して、学問、思考、そして言論の自由が保証された西ベルリンに設立された大学という意味だ。この大学が設立されたのは1948年12月4日のことで、それからこの12月4日で70年が過ぎた。そして、そのことを記念する式典がこのほど行われ、ルーマニア出身のドイツ系ノーベル文学賞受賞作家のヘルタ・ミュラーさんが「自由はとどまることを知らない」という祝辞を述べた。

ベルリン自由大学70周年記念式典で祝辞を述べるヘルタ・ミュラーさん ©Regina Sablotny

 

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メルケル首相の後継者としてCDUの党首に選ばれたAKK

©️CDU/Tobias Koch

12月7日、ドイツ中の注目が、ハンブルクで開かれたキリスト教民主同盟(CDU)の党大会に向けられたと言っても言い過ぎではないだろう。10月29日、メルケル首相が18年間その地位にあった党首を辞任すると発表し、その後継者を選ぶ選挙が行われたからである。候補者として名乗りを上げた3人、かつてメルケルのライバルだった経済通の弁護士、フリードリッヒ・メルツ氏(63歳)、前ザールラント州首相のアネグレート・クランプ=カレンバウアー幹事長(略称AKK、56歳)、イエンス・シュパーン保健相(38歳)は、立候補以来ドイツ各地の8ヶ所で集会を開き、一般党員の前でそれぞれの考えを明らかにしてきた。3人揃っての公明正大な選挙活動の結果、党員だけではなく多くの一般市民の関心も高まった。メルケル首相は、党首は辞任するが連邦首相の地位には2021年の任期までとどまる用意があると発表していた。しかし、CDUの党首を選ぶことは、次期連邦首相候補を選ぶことに通じると考えられているので、その結果が国際的にも注目された。代議員の投票の結果、次期党首に選ばれたのは、唯一の女性候補、アネグレート・クランプ=カレンバウアー氏だった。 続きを読む»

海を救え! 欧州議会に続いて、理事会もプラスティック規制の基本方針を承認

不快なだけでなく、海洋に悪影響を与えるプラスティックのゴミ©️NABU /Felix Paulin

青い海と白い砂—遠くからは美しい砂浜に見えても、歩いてみるとペットボトルやビニール袋、割れたおもちゃのカケラなど、プラスティックのゴミがあちこちに散乱していて、がっかりするということが増えてきた。世界中の海岸に打ち上げられたゴミの85%はプラスティックのゴミだという。そしてその半分以上は、ストローや使い捨ての食器だそうだ。年々増えるプラスティックのゴミは、景観を損なうだけでなく、海洋生物や生態系にも悪影響を与える深刻な問題だ。こんな現状を改善するために、使い捨てプラスティック製品の販売を禁止することなどを決めた基本方針が、欧州議会で10月24日、欧州理事会(加盟28カ国の代表で構成)ではその一週間後の10月31日に、承認された。

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ベルリンの壁崩壊から29年、ドイツ統一から28年

28年もの長い間東西ドイツを分断していた「ベルリンの壁」が、思いがけなく事実上崩壊したのは、1989年11月9日の夜のことだった。当時旧東ドイツの改革を求める市民のデモが高まりを見せていたなか、東独の政治局員が記者会見でおこなった間違った発言がきっかけとなって、東西の境界線検問所に多数の東ベルリン市民が押し寄せた。混乱を恐れた検問所の係官は、検問所を開放せざるを得なくなったのだ。11月9日、ドイツは「ベルリンの壁」崩壊の29回目の記念日を迎えた。 続きを読む»