12月6日、ベルリンで行われた定例党大会で、新しい党首が正式に選出された。
11月30日、土曜日の夕方、ドイツ社会民主党(SPD)の党員投票の結果が発表されると、ドイツ全国に衝撃が走った。この日行われた決選投票で新しいSPDの共同党首に選ばれたのは、当選確実とみなされていたオーラフ・ショルツ連邦財務相(連邦副首相)とクララ・ガイヴィッツ氏(ブランデンブルク州議会議員)のペアではなく、大連立に批判的なノーベルト・ワルター=ボーヤンス氏(元ノルトライン=ヴェストファーレン州財務相、67歳)とザスキア・エスケン氏(連邦議会議員、58歳)のペアだったからだ。ショルツ組の支持率は45.3%に過ぎなかったのに対し、ワルター=ボーヤンス組の支持率は53.1%で、勝利した。この結果キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とSPDの大連立政権であるメルケル政権の行方に急遽暗雲が垂れ込めたと受け取られたのだった。 続きを読む»
「私たちはここにいる!私たちは大声をあげる!それはあなたたちが、私たちの将来を奪ったからだ!」。昨年末からドイツでも毎週金曜日に行われている温暖化対策を求める生徒たちのデモ、「Fridays for Future (未来のための金曜日)」(略:FFF) では、生徒たちがこのフレーズを歌うように節をつけて大声で連呼する。この行動が象徴するように、今、「若者たちは発言したがっている」ことが、ドイツの若者たちの意識調査で明らかになった。
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ドイツはきのう11月9日、ベルリンの壁崩壊から30周年の記念日を迎えた。ベルリンの壁崩壊と言われるものの、それはベルリンだけの出来事ではなかった。東西ドイツの間を40年間(壁が作られてからは28年間)分断してきた1378キロメートルにわたる境界線の全ての壁が思いがけなく開いたのだが、それは1989年11月9日のことだった。統一ドイツの首都ベルリンでは、この歴史的な大事件、壁崩壊30年を記念するイベントが1週間にわたって200以上行われてきた。世界中からの観光客も多数訪れて、街は賑わった。新聞やラジオ・テレビは、しばらく前から連日、壁が崩壊した当時のことを思い起こし、体験者のルポや現在の東西のドイツ人の意識の差などについて報道してきた。
壁崩壊30周年記念イベントの目玉、”Vision in Motion” というインスタレーション
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ドイツ東部、ザクセン・アンハルト州のザーレ河畔の町ハレ(人口約24万人)は、古い伝統を持つ大学都市で、イギリスで活躍した作曲家、ヘンデルの生まれた町としても知られる。ハレは、近くのザクセン州ライプツィヒとともに、この地域の文化圏を形成するが、そのハレでユダヤ教のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)襲撃事件が起こった。第二次世界大戦後のドイツで、シナゴーグが直接銃撃されたのは初めてのことで、ドイツ社会に与えた衝撃は計り知れない。
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1989年11月にベルリンの壁が崩壊してから今年で30年、翌1990年10月に旧東西ドイツが統一して一つの国家になってから今年で29年が経った。その間、旧東ドイツ地域はどう変化しただろうか、ドイツ統一はどこまで進んだだろうか。ドイツ連邦政府直属の東部ドイツ担当官、クリスチャン・ヒルテ氏はこのほど『2019年度、ドイツ統一に関する政府年次報告書』を発表し、「ドイツ東部の状況は、一般に語られているよりずっと良好だ」との見解を明らかにした。しかし、統一は「まだ終着点に達していない」とも語った。
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野党支持者からも評価されているメルケル首相©️Deutscher Bundestag/Achim Melde
去る9月1日に行われたザクセン州とブランデンブルク州の東部2州の州議会選挙では、投票した有権者の4分の1が右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に票を入れ、右翼過激派も含むこの政党の躍進振りが改めて人々に衝撃を与えた。その一方、政権与党のキリスト教民主同盟(CDU)とドイツ社会民主党(SPD)は共に大幅に票を減らし、これまで国民政党と言われてきた二大政党の衰退が目立った。それにもかかわらず、その直後におこなわれたZDF (ドイツ公共第二テレビ)の世論調査では、連邦段階でのCDUと姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU) 、それにSPDからなる、いわゆる大連立政権を評価する人が多いことがわかった。 続きを読む»