ドイツ、2019年の二酸化炭素排出量1990年比でマイナス35%‼︎

©️RWE

地球の温暖化を抑えるためには、世界規模で二酸化炭素の排出量が減るべきなのだが、現実はそれとはほど遠く、排出量が世界規模で年々増え続けている。そんな中、ドイツでは二酸化炭素の排出量が2年間連続で減った。ドイツのエネルギー転換のシンクタンクであるアゴラによると、ドイツの二酸化炭素排出量は、2019年に前年比で6%も減り、京都議定書の基準になった1990年との比較ではマイナス35%になったという。これで、一度は諦められていた「2020年には1990年比でマイナス40%にしたい」という、ドイツ政府の長い間の二酸化炭素削減目標に手の届く可能性が出てきた。

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温暖化対策、緑の党の介入で改善

世界中で問題になっている地球の温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を、ドイツは具体的にどうやって削減していくのか?ドイツ政府はこの問題を話し合うために、アンゲラ•メルケル首相を座長とし、環境、財務、交通、建設、 農業、経済の担当相などで構成する気候閣議を今年の4月から 3度開いてきた。9月19日に開かれた4度目の閣議は徹夜で行われ、そこでまとまった結果が9月20日、温暖化対策のためのパッケージとして発表された。気候閣議の参加者たちはこのパッケージの内容を自画自賛したが、この政策では二酸化炭素の排出量を十分に減らすことはできないと、専門家や環境NGO、野党からすぐさま批判の声があがった。中でも緑の党の女性共同代表アナレーナ•ベアボック氏は、「この政策パッケージには満足できません。連邦参議院でブロックするか、改善を試みます」と言い放った。

温暖化対策が厳しくなれば、ガソリンや灯油が値上がりするので、消費者の負担も大きくなる。

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石炭火力発電、EUで19%も減少!

©️Flickr/ Nobert Kaiser

もうすぐ終わりを迎える2019年のドイツの気候を振り返ってみると、前年の2018年に続いて、今年も暑かったという印象が強く残る。地域によっては最高気温が40度を超えたところもあった。だがこれはドイツだけの現象ではない。世界的にみて、2010年から2019年は観測史上もっとも暑い10年になるという。また、このほど発表された2018年の気候リスクの高い国ランキングで、ドイツは3位になった。スペインの首都マドリードで12月2日から15日まで開かれた「国連気候変動枠組条約第25回締約国会議 (COP25) 」に合わせて、このように、気の滅入る報告が次々と発表された。しかしそんな中で、少しだけ明るいニュースもあった。世界全体を総合すると、二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電が減っているというのだ。

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ドイツは地球温暖化防止に貢献できるだろうか?

今年もまた地球の温暖化対策を話し合う「国連気候変動枠組条約第25 回締約国会議(COP 25)」が12月2日からマドリードで開催されている。このところ世界中で温暖化の被害が目に見え始めており、2015年にCOP 21で取り決められた「パリ協定」に従って、地球の平均気温の上昇を産業革命以前の平均気温に比べて1.5 度ないし2度以内に収めることは非常に望ましい。そのためには、どの国も地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量の削減に努力すべきだ。しかし、例えばドイツのように、現在世界規模ではあまり多くの二酸化炭素を排出していない国が努力しても、大して意味がないという意見がある。二酸化炭素を大量に排出している国がまず先行すべきだというわけだ。この見解に対して、ヴッパタール気候環境エネルギー研究所がこの秋、興味深い研究を発表した。タイトルは『環境保護に関する討論』で、与党である社会民主党(SPD)系のフリードリヒ・エーベルト財団の依頼で作成された。

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知らないうちに、あなたも電力の大量消費者

皆さんは、インターネットも決して環境に良くないことをご存知だろうか。インターネットの使用が始まったばかりの頃、ペーパーレスという言葉が流行った。この言葉は、情報の処理や資料の保存などに、もはや紙は必要なく、インターネットは便利なだけでなく環境にも優しいという意味で使われた。ところがインターネットは、情報が増えれば増えるほど、驚くほど巨大な量の電力を必要とすることがわかってきた。今では、エネルギーの大量消費者に成長している。

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鳴り物入りの温暖化対策、 効果はいかに?  

「私たちの描く将来は、排気ガスのない世界」と訴える「未来のための金曜日」のデモの若者たち

ドイツでは昨年末ごろから、毎週金曜日に生徒たちを中心に、一刻も早く有効な温暖化対策をとるよう求めるデモ、「Fridays for Future (未来のための金曜日)」(略:FFF) が行われている。生徒たちの主張は大人たちの共感も呼び、緑の党の支持率は今年になってからうなぎのぼり、その後も高値安定といったところだ。 先月9月20日には、世界的規模でFFFのデモが行われ、ベルリンだけでも27万もの人々が参加した。これだけ市民たちの温暖化に対する危機感が高まっている中、政府がどのような対策を取るのか注目が集まっていたが、奇しくもこの世界的規模のデモが行われた日に、アンゲラ•メルケル首相率いる連立政権を構成するキリスト教民主同盟 (CDU)、キリスト教社会同盟 (CSU)、社会民主党 (SPD) の幹部は、前日から行われていた「気候閣議」がまとめた温暖化対策の政策パッケージを発表した。

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