Author Archives: ツェルディック 野尻紘子

「乾ききった夏-我々は生活態度をどう変えなくてはいけないのだろうか」

とは、8月末の日曜の晩のテレビのトークショーのテーマだった。今年のように、これほど毎日、太陽の出る夏を経験したことは、ドイツ生活50年を超す私にとって初めてだった。来る日も来る日も太陽が燦々と、いやジリジリと照り、しかも気温が高く、40度に近づく日も度々あった。そして北ドイツや東ドイツでは、何よりも4月から9月まで、雨らしい雨がほとんど降らなかった。水不足で農地にひびが入り、農作物が干からび、収穫高が例年の半分以下だったり、牧草が育たないため家畜の緊急屠殺に迫られたりした地域も出た。大多数のドイツ住民が、地球温暖化を垣間見たと感じた夏だった。それとも、それはもう始まっているのかもしれない。 続きを読む»

直流高圧地下ケーブルとは、どんな送電網?

ドイツが2022年の脱原発後に、ドイツ北部や北海・バルト海で多量に発電される再生可能電力を、電力需要の多い南ドイツ地域に送る基幹送電網は、直流高圧送電網になる予定だ。直流高圧送電網とはどんな送電網なのだろうか。当初は架空ケーブルとして計画されていたが、2015年秋に住民の反対を反映して、大部分が優先的に地下に埋設されるように計画が変更した。しかしここにきて、地下ケーブルではなく、やはり架空ケーブルにして欲しいとする声もあがっている。 続きを読む»

バーチャル発電所で電気料金を節約し、送電網の負担も軽減

屋上のソーラーパネルで発電した再生可能電力を、送電網には送り込まず、各家庭に設置した蓄電池に溜め、その各家庭の蓄電池をさらに相互に接続して、バーチャル発電所を形成するケースがドイツで増えている。消費電力を再生可能電力だけで賄う可能性が高まり、電気料金も節約できる上、送電網への負担も軽減できる。一般家庭からだけではなく、エネルギー大手からも事業として注目を集めている。 続きを読む»

ドイツの電気料金、欧州最高

ドイツは以前から、欧州連合(EU)内で電気料金が最も高い国の一つだった。しかし今まではいつも、どこか他の国の電気料金の方が高かった。ところが、先ごろEUの統計局であるEurosat が発表した統計によると、ドイツの電気料金は2017年にデンマークを抜いてEU最高になってしまった。政界と業界は驚きを隠しきれず、何がドイツの電気料金を高くしているかについて、話し始めている。 続きを読む»

再生可能電力の発電量、2018年上半期に1000億kWhを突破

ドイツで再生可能電力の発電量が2018年上半期に1000億kWhを突破した。電力大手E.ONの計算によると、今年1月から6月までにドイツで風力と太陽光、バイオマス、水力で発電された電力は、前年同期比9%増の1049億kWhに達し、全電力消費量の36%を占めた。1000億kWhという電力は、E.ONによると、ドイツの1世帯当たりの年間電力消費量を2500kwhとした場合、全世帯の約1年分の消費量に相当するという巨大な量だ。 続きを読む»

Power to Liquid (PtL)

カーボン・ニュートラル(炭素中立)な液体燃料が話題になっている。水を再生可能電力を使って電気分解して得られる水素(Power to Gas)を、二酸化炭素と合成して作る合成液体燃料のことで、利用する二酸化炭素は工業生産の過程で発生するものでも、空気中に存在するものでも良い。この燃料は、ガソリン、軽油、ジェット燃料などの化石燃料の代替えになるという。製造方式はPower to Liquid (PtL)、製品はSyncrude (人工原油の意味)と呼ばれる。これを燃焼すると、排出される二酸化炭素は、製造に使われた量と同じなので、炭素中立ということになる。 続きを読む»