Author Archives: やま

いらなくなった建材を活用したコーヒーショップ

世界中で利用者が増えているインターネットオークション。特にいらなくなった建材を出品できるネットオークションがオランダにあります。このオークションで購入した中古の建材だけで建てられたコーヒーショップがベルリンの建築専門誌「バウヴェルト(Bauwelt)」に紹介されました。数年前、アムステルダム市内の北部に引越ししてきたという建築家グループbureau SLAとOvertreders Wが、近くにおいしいコーヒーが飲める店がなかったので、自分たちで作ろうという発想がこの企画の始まりでした。経済不況で景気停滞が続く建築業界ですが、「金より発想とネットワーク」と廃棄物のアップサイクル1)の好例として、このコーヒーショップ、ノーダーパークバー(Noorderparkbar、北公園カフェ)をご紹介したいと思います。 続きを読む»

ベルリン~ロンドンの旅、持続可能な社会への取り組みメモ

年に平均27.5日、ドイツの有給休暇の日数はスウェーデンと並びEU諸国の中では一番少ないそうですが、夏になると大抵の家族は休暇をリゾート地で過ごします。目的地への道路が毎年渋滞するにもかかわらず、休暇を取る人々の52.8%がマイカーで旅行するそうです。それに続くのが36.1%の飛行機での旅行です。運ぶ荷物があったこと、時間をかけてゆっくりと気軽に移動したいなどの理由で、今回はマイカーでベルリン~ロンドンの旅に出ました。 続きを読む»

ベルリン・クーダム、同潤会アパートと同時代の複合建築

旧西ベルリン中心、カイザー・ヴィルヘルム記念教会の建つ広場から目抜き通りクーダムを西へ徒歩30分、えんじ色から紺に輝くレンガの流線形が目立つ建物「シャウビューネ劇場」があります。かつて映画館だったこの劇場は、表現主義の代表的建築家であるエーリッヒ・メンデルゾーンの1925~1931年の作品です。ネットで手ごろなアトリエを探していると、「クーダム、重要文化財、設計者メンデルゾーン、ワンルーム・マンション」という物件が目に入りました。シャウビューネ劇場には何度か観劇に行ったことはあるのですが、裏に当たるブロック内に、彼の設計した集合住宅があるとは意外でした。そしてこの建築の由来を調べてみると、ベルリンの歴史の流れに触れたような気がしました。 続きを読む»

自然エネルギー発電、25%を突破

シリア危機、ユーロ危機、欧州危機でドイツの格付けは「ネガティブ」に、といったニュースが支配的だった7月末、「自然エネルギー発電の割合、25パーセントを突破」という明るい知らせが届きました。ドイツ全国エネルギー・水利経済連盟の推定によると、今年前半、ドイツ発電量で自然エネルギーの占める比率が初めて4分の1を上回りました。その発電量は去年に比べて4%増加して67.9TWh(1テラワット時=1,000ギガワット時)。その中では風力発電が9.2%を占めて、例年と同様、最重要自然エネルギー源となっています。再生可能エネルギーと呼ばれる自然エネルギーが、今までトップだった石炭を追い越したのも今回初めてだそうです。2020年までにこの比率を35%まで伸ばすのがドイツ政府の方針です。
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土でできたベルリンの礼拝堂

東西ベルリンを隔てる“悲劇の壁”があったベルナウアー通り。その壁を記念した壁公園の中に、「贖罪礼拝堂」が建っています。ここは以前「贖罪教会」のあった跡です。この礼拝堂の棟上式は1999年の壁崩壊10年後に、竣工式は2000年11月9日の壁崩壊記念日に行われました。完成後10年しか経っていませんが、昔からずっとこの土地に建っているかのような印象を受けるのは、使用されている建材のせいでしょうか。ここでゲニウス・ロキ1)を感じました。この礼拝堂についてはマスメディア、専門書、パンフレットなどで数多く紹介されていますが、私はこの建物を“みどりのめがね”をかけて見学しました。 続きを読む»

畑から生まれて畑へ戻るみどりのプラスチック

デュッセルドルフ、ケルン、ボンのあるノルトライン・ヴェストファーレン州西部の小さな町でゴミにも害にもならないみどりのプラスチックを製造する農家があります。ドキュメンタリー「みどりの革命」1)に登場する一人は、この農家の持ち主であるフーベルト・ロイク(Hubert Loick)さんです。彼のアイデアは使用後、エネルギーとして利用でき、肥料となって自然に戻るみどりのプラスチックを作ることです。2005年にケルンで催された世界青年会議に50万人用のプラスチック食器を用意したのはロイクさんの経営するロイク再生可能資源株式会社でした。未来を背負う青年の集まりに環境問題となるプラスチックの山は相応しくはなかったでしょう。ロイクさんの使い捨て食器は使用後、食べ残りといっしょにコンポストへ、なぜならば原料はトウモロコシ。 続きを読む»