Author Archives: 永井 潤子

連邦議会選挙の結果、ドイツ社会に衝撃

9月24日に行われたドイツ連邦議会選挙の結果は、ドイツ社会に衝撃を与えるものだった。メルケル首相の率いる保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は第一党の地位を維持したが、これまでの「大連立政権」のパートナー、社会民主党(SPD)とともに大幅に票を減らした。 その一方、新興右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、初めて連邦議会進出を果たしただけでなく、一気に12.6%を獲得してSPDに次ぐ第三党となった。選挙当日、難民反対、外国人排斥、ネオナチ的な主張を掲げる同党の連邦議会進出が伝えられると、首都ベルリンでは数百人の市民が、抗議デモを行った。抗議デモはフランクフルト、ケルン、ハンブルクなどの大都市でも行われた。 続きを読む»

コンピュータの助けで政党を選ぶ?

きょう9月24日、ドイツでは連邦議会の選挙が行われている。今回の選挙では保守のキリスト教民主・社会同盟のメルケル首相が勝利を収めることはほぼ確実視されているが、苦戦を強いられている対抗馬の社会民主党の首相候補、シュルツ氏がどこまで票を伸ばせるか、また、外国人排斥や難民反対を唱える右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢」が野党第一党になるかどうかが、最大の焦点になっている。今回の選挙では、42の政党が候補者を立てており、各種の世論調査によると、次期連邦議会では6政党が議席を占めると予想されている。6150万人の有権者の中には、最後までどの政党に投票するか、わからない人も少なくなく、そういう人たちが頼りにした一つの方法が、コンピュータによる投票決定サポート・システム「選挙・オー・マット(Wahl-O-Mat)」だった。 続きを読む»

日本の核廃棄物最終処分政策について、ベルリンで思う

日本政府は7月28日、原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地に関する「科学的特性マップ」というのを発表した。このマップは、最終処分地の候補地探しの前提として、火山や活断層、地下資源の有無などの自然条件から全国を「好ましい」と「好ましくない」に大別したものである。新聞報道によって、全国の約65%が「好ましい」地域とされていると知って驚いた。世界中の原発所有国のほとんどが最終処分場を決められない中で、この65%という数字は、最終処分場を見つける困難さを示すものではない数字のように私には思えた。 続きを読む»

原爆忌の日に映画「わたしの終わらない旅」を見る

8月6日の広島への原爆投下の日にはベルリンでも、平和の鐘をつく記念行事や平和コンサートが行われたが、私は一人家で坂田雅子監督の映画「わたしの終わらない旅」を見て過ごした。坂田監督のこの映画は、母親の残した1冊の本をきっかけに、監督が原爆と原発について考える旅に出、その記録をまとめたものである。 続きを読む»

日本最南端の地熱発電所を見学して

先ごろ3週間ほど日本に一時帰国した際、中学から高校にかけて3年間を過ごした懐かしい土地である鹿児島に出かけた。今も活発な活動を続けている活火山、桜島を抱く鹿児島県は、いたるところで温泉が湧き出ている。そこで目にしたのは、自然のエネルギーをうまく利用して暮らしている人々の姿だった。指宿市の山川地区にある地熱発電所も、そうした人々の生き方を象徴しているように思えた。 続きを読む»