Author Archives: あきこ

テレビが作りだす危険な沈黙 - 原発事故後の日本

「ベルリン100°」というフェスティバルがある。このフェスティバルはパフォーマンス、演劇、朗読、ダンスなどの分野で、これからを嘱望されるタレントの発見という意味合いを持っており、今年で10回目を迎えた。通称ハウ(HAU)で知られるヘッベルテアーター・アム・ウーファーとゾフィーエンゼーレの2ヶ所で、金・土・日曜日の3日間、1時間ごとに次から次へと作品が演じられる。新しい才能や作品を発掘しようとするベルリンならではのフェスティバルだ。今年は2月21・22・23日に開催され、ベルリン在住の知人西原(さいばら)れんさんが「沈黙-エクストラ」という作品で登場した。

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「過小評価してしまう危険を最小化したかった」

先日、久しぶりにアパートの大家さんと会って、立ち話をしたときのことである。大家さん夫妻が「日本は本当に大丈夫か」と真顔で尋ねた。2年前の原発事故以来、会えば原発事故後の日本のことを心配していることがわかる。事故2周年を前に、ドイツのテレビや新聞で福島のことが再び頻繁に取り上げられるようになっている。そして、ドイツのニュース番組を中心に放送しているn-tvのウエブサイトに載っている記事について、大家さんからメールが送られてきた。

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「青い天使」がいっぱい - ベルリンで見つけた文房具店

映画「嘆きの天使」はドイツ初のトーキーで、マレーネ・ディートリッヒを一挙にスターダムに押し上げた1930年の映画である。原題はDer blaue Engel、直訳すれば「青い天使」。ところで現代の「青い天使」をご存じだろうか。環境にやさしい製品の目印として1978年に誕生し、今ではドイツだけではなく国際的にも広く消費者に認知されている。この「青い天使」マークをつけた文房具類、再生紙だけを用いた紙製品、持続可能な森林経営を目的にした森林管理協議会(FSC、Forest Stewardship Council)の認定を受けた商品だけを扱っている店がベルリン・ミッテ地区に誕生した。

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ベルリン映画祭が環境保護に一歩踏み出す

事あるごとに一年があっという間に過ぎるということを実感するが、今年もまた11月に入ってすぐにベルリン映画祭のプレス部門からメールが来た。ベルリン映画祭がまたやってくるのだ。早速書類を整えてプレス登録を申し込んだところ、登録承認のメールが来た。所定の登録料(60ユーロ、約6300円)を支払ったあとに送られてきた手続完了のメールを見て、アッと驚いた。 続きを読む»

日本はどうなっていくのだろうか? あるオーストリア・ジャーナリストの問いかけ

「Japan レポート3.11」という本がある。裏表紙には、「日本が大好きなオーストリー・ジャーナリストが問う これから日本はどうなっていくのだろうか?」と書かれている。原題は Reportage Japan: Außer Kontrolle und in Bewegung - 訳せば、「日本レポート:制御不可能、しかし動いている」とでもなるのだろうか。オーストリアの女性ジャーナリストが2011年9月から名古屋市立大学に客員教授として日本に滞在した間、津波あるいは原発事故で今までの生活が一変してしまった福島県楢葉町、陸前高田、南相馬、福島市渡利地区などの当事者、学者、霞が関前の運動家、さらには名古屋市立大学の学生たちに行ったインタビューをまとめたものである。オーストリアは1978年11月5日の国民投票で原子力発電反対が過半数を占め、ツヴェンテンドルフに建設された唯一の原子炉は運転開始ができなかった。1999年には「核の放棄」が憲法で制定された国の「日本が大好きな」ジャーナリストが、インタビューを通じて3.11後の日本を描き出す興味深い本である。

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再生可能エネルギーの賦課金に関するウソ!?

記事「ドイツ風電気料金高騰への対処」で、再生可能エネルギーの賦課金が来年は約50%上がり、電気代が高騰することを書いた。10月15日、正式に2013年の賦課金が発表され、現行の1kWh当り3.59ユーロセントから5.28ユーロセントに引き上げられた。上げ幅は予想通り50%弱で、再生可能エネルギー優先法賦課金(EEG-Umlage)に対する批判の声が上がっていることも、このサイトで記されている。ところがどっこい、EEG-Umlage(再生可能エネルギー賦課金)をもじってEEG-Umlüge(「再生可能エネルギー法賦課金をめぐる嘘」とでも訳せばよいだろうか)を掲げたデモが、2013年の賦課金値上げの正式発表を目前に控えた10月13日、連邦首相官邸前で行われた。ドイツ全国風力エネルギー連盟(Bundesverband WindEnergie)が主催したデモである。

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