ドイツでは5月末に北ドイツから南ドイツまで、全国的に雲一つない晴天が続き、太陽光による発電量が正午を中心に20ギガワット前後になる日が何日か続いた。これは原子炉15基から20基分の発電量に相当する。ミュンスターにある国際再生可能エネルギー経済フォーラム(IWR、 Internationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien)によると、一国内でこれほど多量の電力が太陽光により発電されたことは過去になく、世界新記録だという。 続きを読む»
一年前に決定した脱原発・エネルギー転換が思うように進まないドイツで、アンゲラ・メルケル首相が少し腰を挙げた。5月23日に首相府でドイツ16州の州首相と会談し、これからは定期的に この集まりを半年ごとに開催、 エネルギー転換の進展を評価し、政府と州との間のコーディネーションを計るという。経済界などからはエネルギー省の設立を希望する声も挙がっているが、メルケル首相は「ドイツ国内に原子力発電所がある間は、原発の管理はエネルギー政策とは切り離して環境省が、送電網や原発以外の発電所の建設、管理は経済省が行うべきだ」と発言、エネルギー転換の舵取りは自分がしていく方針を明らかにした。 続きを読む»
「ドイツ政府の決めたエネルギー転換が成功するために必要な技術はまだ開発されていない」と挑発的な発言をするのは微生物学者で著名な科学評論家でもあるハレ市在の生物学安全研究所(Institut für Biologische Sicherheitsforschung)の所長、アレクサンダー・S・ケクレ(Alexander S. Kekulé)教授だ。このところ倒産などに直面しているドイツの太陽光発電業界の問題も、斬新な技術の欠如が主因だと指摘する。
ケクレ教授は、先頃決定された再生可能エネルギーに対する政府の補助金削減を当然だとする。なぜなら、ドイツの太陽光発電業界などが直面する苦境は、大半が自ら招いた結果だからだ。手厚い補助金があるため、例えば、どの会社も価格的に世界市場で 競争出来る太陽光パネルを生産しようと真剣に努力して来なかった。毎年数千万ユーロの補助金を得ているにも関わらず、ドイツ企業は以前には保有していた科学技術面での世界的なリーダーシップも失ってしまった。 続きを読む»
ドイツで標榜されているエネルギー転換の重要な柱となるべき洋上風力発電パークの送電網への接続が大きな問題になっている。ドイツの4大送電網運営会社の一つであるテネットが、接続に必要な膨大な資金を調達できないと表明し、接続に関わる損害補償の責任も引き受けられないとしているからだ。国の援助が避けられないようだ。 続きを読む»
3月11日の東日本大震災一周年を機に、ここ数日間、昨年3月以降、脱原発・エネルギー転換政策を決定したアンゲラ・メルケル独首相に、その進展具合を批判する政治家や経済界代表、メディアからの発言が相次いだ。一年前にエネルギ−転換を「革命」と称したのはノルベルト・レットゲン連邦環境相、「多大の労力を要するヘラクレスの大仕事」としたのは他ならぬメルケル首相。それなのに立法・行政面での進歩は一向に目に見えて来ておらず、一部投資などは足踏みしている。背景にはエネルギー転換が果たして成功するのだろうかとの心配もあるようだ。
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2月前半、ドイツでは全国的に気温がマイナス10度以下になる日が続き、電力の需要が急増、供給が需要に追いつかず、ブラックアウトに陥る危険が何度もあったという。各紙が一斉に報道した。昨年春以来、ドイツにあった17の原子力発電所のうち8つが操業中止になっていることが主因だが、ウクライナ経由で輸入されるロシアからの天然ガスの量が一時約25%も減ったことも電力供給低下を強化した。一方、同じく寒波に襲われたフランスに「今回も例年のように電力が輸出出来たのは再生可能エネルギーのためだ」と、再生可能エネルギー業界は胸を張る。フランスでは電気式暖房が主力のため冬場の電力使用量が大きく、今までは毎年冬に多量の電力をドイツから輸入していた。 続きを読む»