初夏にはドイツで日々新しく確認されるコロナ感染者の数は、200人から300人と少ない日もあり、このままコロナ危機は乗り越えられるのではないかという希望が持てた。しかし、最近になってその数は千人を越す日が続いている。そのためドイツでは今でも、欧州連合(EU) か欧州経済領域に属する国以外のいわゆる第三国からの入国は、いくつかの例外を除いて厳しく制限されている。こうした状況下で自由に会うことができなくなった非婚のカップルがいることを受けて、ドイツ政府は8月10日からは、第三国からの非婚のパートナーも入国ができるように制限を緩和した。なかなか粋な計らいだ。
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ベルリンから隣のポツダム市に電車で向かう途中に、グリープニッツゼーというレンガ造りの小さな駅がある。駅名の由来となったグリープニッツ湖の周辺には森が広がり、近くにはプロイセン王室ホーエンツォレルン家が建てた宮殿も点在していて、この一帯はベルリン近郊で最も美しい場所だ。19世紀後半には高級住宅地として開発され、今も瀟洒な邸宅が並んでいる。7月25日、その一角にあるヒロシマ・ナガサキ広場で原爆の犠牲者を追悼し、核兵器の廃止を求める集会が行われた。
ヒロシマ・ナガサキ広場。記念碑の制作は、石彫刻家藤原信さん(故人)を中心に行われ、2010年に除幕式が行われた。
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世界の中には今もコロナが猛威を振るっている地域があるが、幸いなことに欧州では コロナはかなり下火になってきた。夏のバカンスシーズンが始まったこともあり、一部の国を除いて、欧州連合(EU) 域内の移動の自由が復活した。EU理事会も、日本など域外の15カ国からの渡航者の入国制限を解除するよう勧告を出した。ところがこうした人の移動の自由化の流れを無視して、日本が外国人の入国を拒んでいることが、ドイツではちょっと話題になっている。
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季節感を大切にする和食と違って、ドイツにはあまり旬の食材がない。そんな中で特別な存在が、白アスパラガスだ。4月中旬、ドイツ産の白アスパラガスが店頭に並ぶと、私たちは長い冬が終わり、ようやく春が訪れたことを実感する。白アスパラガスの旬は夏が来るまでの約2ヶ月間で、新緑が日々濃くなり、ライラックやシャクナゲなど春の花が順番に咲き乱れるドイツで最も美しい季節とちょうど重なる。だから余計、ドイツの人たちは白アスパラガスを心待ちにするのだろう。ところが今年は、その白アスパラガスを例年のように楽しめるかどうかが危ぶまれるという事態になった。コロナ禍のせいだ。
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ほぼ6週間ぶりにカフェやレストランがオープン。再開を待ちかねていた人たちで賑わった。
5月6日、メルケル首相とドイツ全国16州の首相との間で、今後のコロナ措置の緩和について話し合う電話会議が行われた。赤いジャケットに身を包んだメルケル首相はその結果を伝えるために開かれた記者会見で、「私たちはパンデミックの最初の局面を乗り切ったといえます」と語った。みんなが心待ちにしていた嬉しい言葉だった。
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コロナウイルスの感染拡大を防ぐため第一弾、第二弾と措置が徐々に厳しくなっていったために、ドイツでは3月中旬頃から、映画に行ったり、友達と会ったりという日常生活のささやかな楽しみが、奪われていった。食料品店やスーパー、薬局などのごく限られた店以外は閉まったため、買い物に出かける楽しみもなくなった。しかしそんなことは些細なことで、休業を強いられた人や職を失ってしまった人もいる。もっと辛いことに、ドイツだけでもコロナウイルスのせいで、すでに5000人以上もの人が亡くなった。その一方で、4月15日、コロナ措置の一部が緩和されることが発表された。コロナ危機が始まってから、出口の見えない暗くて長いトンネルの中にいるような気分で毎日を過ごしていた私たちにとって、久しぶりの明るいニュースだった。
営業再開したブティックの店頭で見かけた、私たちの気持ちを代弁してくれるTシャツ。
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