Author Archives: 永井 潤子

東京電力旧経営陣三被告に対する無罪判決について、ドイツの新聞はどう伝えたか

福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で、強制起訴された東京電力の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の三被告に対し、東京地裁は9月19 日、いずれも無罪の判決を言い渡した。事故の刑事責任が問われた唯一の公判だった。少し遅くなったが、この判決についての翌20日のドイツの新聞論調の幾つかをお伝えしようと思う。 続きを読む»

ドイツ人の大多数は、現在の大連立政権が2021年まで続くことを望んでいる

野党支持者からも評価されているメルケル首相©️Deutscher Bundestag/Achim Melde

去る9月1日に行われたザクセン州とブランデンブルク州の東部2州の州議会選挙では、投票した有権者の4分の1が右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に票を入れ、右翼過激派も含むこの政党の躍進振りが改めて人々に衝撃を与えた。その一方、政権与党のキリスト教民主同盟(CDU)とドイツ社会民主党(SPD)は共に大幅に票を減らし、これまで国民政党と言われてきた二大政党の衰退が目立った。それにもかかわらず、その直後におこなわれたZDF (ドイツ公共第二テレビ)の世論調査では、連邦段階でのCDUと姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU) 、それにSPDからなる、いわゆる大連立政権を評価する人が多いことがわかった。 続きを読む»

東部2州で右翼ポピュリズム政党が躍進

9月1日に行われた東部ドイツの2州、ザクセン州(州都ドレスデン)とブランデンブルク州(州都ポツダム)の州議会選挙ほど、その結果が注目された州議会選挙は近年なかった。それは、当初の世論調査で、右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、この2州で第一党になる可能性が伝えられたからである。ドイツ統一以来30年間、ザクセン州ではキリスト教民主同盟(CDU)が、また、ベルリンを取り巻くブランデンブルク州では社会民主党(SPD)が、一貫して政権を担当してきた。かつて国民政党と見なされてきたCDUとSPDが、その退潮傾向をストップすることができるかどうかも、今回の州議会選挙での大きな関心事だった。

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ドイツの外相、ワルシャワでナチの犯罪に謝罪

8月1日、ポーランドの首都、ワルシャワで75年前のワルシャワ蜂起の犠牲者を追悼する記念式典が行われた。この式典に出席したドイツのマース外相は「ドイツ人がドイツの名においてあなた方の国に対して行ったことを、私は深く恥じています」と述べ、ポーランド人に対してナチス・ドイツの犯罪に赦しを乞うた。 続きを読む»

ドイツの国防相、フォン・デア・ライエンが女性初のEU委員長に

7月16日火曜日の夜7時過ぎ、ヨーロッパ中の注目がフランス・ストラスブールの欧州議会に集まったと言っても言い過ぎではなかった。わずか2週間前に欧州理事会によって突如次期欧州委員会委員長候補に指名されたウルズラ・フォン・デア・ライエンを欧州議会が承認するかしないか、1時間前に始まった議員の投票結果が7時過ぎ、いよいよ発表されることになっていたからである。私自身も固唾を飲んで発表を待った。5月末に行われた欧州議会選挙で筆頭候補ではなかった彼女を、欧州理事会が次期委員長候補に選んだことに対する欧州議会議員の反発が強く、拒否される可能性があったのだ。

欧州議会議員の前で、欧州委員会委員長立候補者として情熱的な演説を行ったフォン・デア・ライエン©️European Union/Fred Marvaux

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内外の注目を集めた「ナイセ河畔の真珠」の市長選

ドイツ東部、ザクセン州のナイセ川を挟んでポーランドと国境を接する人口5 万6000人ほどの小さな町ゲルリッツについて、日本ではほとんど知られていないのではないだろうか。「ドイツ東部で最も美しい古都」「ナイセ河畔の真珠」などと呼ばれるゲルリッツだが、実は旧西ドイツでも、東西ドイツが統一するまで、こんなに素晴らしい町が旧東ドイツに存在するのを、ほとんどの人が知らなかったといっていい。そのゲルリッツの市長選が、このほど内外の注目を集めた。それは、今回の市長選がこの美しい町の今後の政治状況を決める試金石とも言える選挙だったからだ。

ゲルリッツの美しい街並み。装飾を施された建物が多く、かつての豊かさを物語る。

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