もともとマスクに対して悪いイメージを持っていたドイツ人だが、4月末、16州全てで公共交通機関を利用する場合や買い物をする場合にマスク着用が義務付けられて以来、マスクは日常生活に欠かせないものとなった。しかし「マスク嫌い」の気持ちは、そう簡単には無くならないようだ。ロックダウンが徐々に解除されても、マスク着用義務は無くならず、マスクは「コロナ危機のシンボル」となった感さえある。マスク着用の義務を原則として認めていても、わずらしいと感じる人も増えているようだ。また、マスクを全く否定する人たちのデモも各地で起こっている。ドイツのマスク事情の今をご紹介する。
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7月26日、ドイツ社会民主党(SPD)の政治家、ハンス=ヨッヘン・フォーゲル氏が亡くなった。94歳だった。翌27日のドイツの新聞の多くは、一面に「偉大な社会民主主義者」「民主主義を体現した政治家」といった見出しの大きな追悼記事と写真を載せた。長年ドイツの政治に影響を与えてきたフォーゲル氏だが、ドイツ統一直後の1994年に連邦議会議員を辞めて、政治の表舞台から姿を消したため、若い世代には馴染みがない政治家かもしれない。しかし、旧西ドイツ時代の1972年から1989年までの27年間、ドイツの国際公共放送、ドイチェ・ヴェレの日本語番組の記者として働いた私にとっては、尊敬できる政治家の一人で、忘れられない人だった。改めて彼の長い政治活動を振り返ってみる気になった。 続きを読む»
私たち日本人にとっては、マスクはなじみ深いものである。風邪をひいた時や花粉症に悩む時、マスクをすることに何の抵抗もない。だから新型コロナウイルスが流行り始めた時、誰もが自発的にマスクをつけたのではないだろうか。韓国など他のアジアの人たちも、マスクに対して似たような感覚を持っているようだ。ところが、一般のドイツ人はこれまでマスクをする習慣がなかったし、マスクに対する従来のイメージは、非常に悪いものであった。 続きを読む»
ドイツではこのほど、コロナ危機で落ち込んだ消費や投資の回復を目指す総額1300億ユーロ(約16兆円)にのぼる新たな景気対策が発表された。連立与党のキリスト教民主同盟(CDU)とそのバイエルン州の姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)、それに社会民主党(SPD)の首脳部は、2日間にわたる困難な話し合いのあと、6月3日夜遅く、今年下半期、付加価値税(日本の消費税に当たる)を3ポイント引き下げるなど一連の景気回復策で合意に達した。これはコロナ危機対策であると同時に未来を目指した経済振興策でもある。また社会的弱者にも配慮した景気対策だと連立与党は主張する。これを受けてメルケル政権は6 月12日の臨時閣議で、この案の主要部分を承認した。
©️Bundesministerium der Finanzen
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©️European Union 2020 Source: EP/ Daina LE LARDIC
欧州連合(EU)は5月27日、コロナ危機で大きなダメージを受ける加盟各国の経済復興基金として7500億ユーロ(約90兆円)にのぼる大規模な基金の創設を提案した。この案は、実現すれば欧州の財政統合にも繋がる歴史的な第一歩とみなされている。EUの復興基金案は、5月18日にフランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が合意した「EU復興基金設立のための共同提案」の方針をほぼ取り入れた内容だった。独仏両国は歴史的にヨーロッパ統合の推進役となってきたが、今回独仏両国がようやくマクロン大統領の考えに沿った共同提案で合意できたのは、メルケル首相が180度の方向転換をし、これまで反対し続けてきたEU共通債務を認めたことで、はじめて可能になった。 続きを読む»
今年5月8日、ドイツはヨーロッパでの第二次世界大戦終結75周年の記念日を迎えた。ドイツ16州のうちベルリン州だけは、これを記念して、この日を臨時の祝祭日とした。本来は第二次世界大戦で敵国として戦い、今では友好国となった国々やナチスドイツが多大の被害を与えた国々の代表、そしてそれらの国々の若者も含めて何千人もの人を招いて、75年前の戦争の終結とその後の平和を祝う記念式典を開く予定だった。首相官邸から旧帝国議会の建物(現在の連邦議会)までの間の広場では、一般のドイツ人も交えて戦争と平和に関する思索的な歴史の授業が大々的に繰り広げられることになっていた。しかし、予期しなかったコロナ危機のため全く違った形になった。
ノイエ・ヴァッへの前で行われたシュタインマイヤー大統領の演説(中継したphoenixの画面から)
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